~人間の本懐~
〇はじめに
ねずみって泳げるのか。
〇想起する作品
「0:34 レイジ34フン」(2004)
「バイオハザードⅡ アポカリプス」(2004)
「11:46」(2006)
「モスクワ・ゼロ」(2006)
「ミッドナイト・ミート・トレイン」(2008)
「第9地区」(2009)
「HIDEOUT」柿崎正澄
〇こんな話
コスプレという文化から眺めるナニカ。
〇人間の本懐
コミコン?におけるコスプレ(仮装)をした人々が最初に描かれる。様々なキャラや造形の衣装を模している。そういう文化があるのだと。
そういった趣味を持つ人間たちの交流の場にて彼女は全く違和感は無い。しかし会場から一歩外に出れば・・・
後にコスプレに関してとある男が疑問を呈する場面が挿まれている。その格好はいったい何なんだ?と。キャラ確認と顔見せのシーンなのだが。
そして駅で電車を待つ場面。衣装としては彼女が浮くものの(といっても比較できる人間があまりいないのだが・・・)、そこにて別の理由で浮く人間が描かれている。
駅のホームギリギリに立つ男。彼は電車を乗る物とは別の意味で待っていることを示唆する。
コスプレイヤー、自殺志願者、カップル?、中国マフィア?、意味深発言男・・・、年齢や職業や国籍といった括りで人種の違いと表現するが、様々な境遇の人間が様々に闇を抱えている人間たちが会することになる。非日常に夢や希望、憧れを抱いているってなところでまとめておくか。状況判断及び整理にて顔見せとともにその人間に対する偏見を示す男がいるがこれを挿んだことでとっつきやすくなる。
一見それぞれ何かしらに適さない異質さを兼ね備えた人間たち。そんな者たちが見舞われる非常事態。この非常事態にてその人間を評価・判断する上で先行してくる情報、敬遠すべき垣根が取っ払われるという状況を描き出したいのだろう。そこで見えてくるもの。個性とでも言おうか、本質(本音)とした方が良いか。何と向き合うことになるのか。
なぜカップルは彼に話しかけたのか。ざっくりとは「ぽかった」からである。それっぽさを漂わせているとカップルが判断したからである。要は雰囲気。
そして登場する真のエゴール。カップルが本来求めていたエゴール。ここでビジュアルを意識させているのもおもしろいところだ。スキンヘッドに対してモヒカンってやつか。この2人がいてどちらを頼ろうとするだろうか。
その「場」や「雰囲気」といったシチュエーションに適しているのか否かで人は自他(ひと)を判断する。それを個性豊かな登場人物たちにて意識に登らせ、メインとしたいところは男女関係だろう。男が女を、女が男を好きになるという事象(現象)。いったい彼の彼女の何が好きなのか。
我々は手の平の刺青にて化け物が誰だったのかを認識するが、彼は彼女をどうやって認識できたのか。我々とは別に何か他の要因が存在したのか否か。
人間は何かしらの感情を常に抑えて生きている。欲というものを時に我慢しコントロールしている。狭義には本音と建前というところだが、これを浮気といった秘め事を始め描かれている。そして究極は人が人を殺すというものである。晒された状況によりタガが外れてしまう。
あの化け物への変異が闇堕ちといった様に映るが、そんなところを踏まえると実はただその抑えている何かが剥き出しになっただけ、あの姿こそが人間という生き物の本来の姿、本性・本質なのだと捉えることもできる。
前任者を親子として子どもを描いているのもこれとの兼ね合いだろう。本来子どもとは純粋無垢なものであるとされる。しかしそんな子どもにも本来の姿はあるのだと。ただ子どもは襲ってこないんですよね。遊んで・・・、くらいのノリ。
姿形を変えた者と今までの様に接することができるのか否か。前任者を兄弟という関係性で描いているのがまた対比になっているのだろう。
〇最後に
何かもう一捻りというかロシアっぽさが欲しかったな。そのぽさってものがどうせ私にはわからないが。
ではでは・・・
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