~ミルズ~
〇はじめに
人間とロボットを両極端に据え、ミルズという半人間半機械を境界(中間)人として描き出すことで何が見えるのか・・・
〇想起する作品
「プレデター」(1987)
「ターミネーター2」(1991)
「もののけ姫」(1997)
「DEBUG」(2014)
「ザ・ストーム」(2015)
〇こんな話
人間のための訓練が機械のための訓練でもあったというお話。
〇ミルズ
元は人間であり、機械と同調できる。半人間半機械。
まず彼女にしか見えていなものを映し出している。我々人間には見えない世界を。ネットワークに転がっている情報も視覚情報からすぐに照会できる。
ここに数字は結果でしかないという一兵士の言葉。数字は確かにその人間の経歴やステータスとして機能するが、数字にはそのときの状況は加味されていない。故にそこから人を見ることはほぼ不可能と言っていい。彼女には見えず、我々だからこそ捉えられる世界もあることを意味する。ここにデスクと現場のギャップをも見るわけである。
ざっくりとはミルズの描いていた筋書(組み込んだプログラム)と、SARが学習・分析・再プログラム化によって歩んだ道が異なったということで・・・
人間の兵士の代わりにSAR(Study Analyze Reprogram)というロボットを開発していた。人間が命の危険を冒す場にロボットを導入しようという試み。死ななくていいように。殺さなくて済むように。これがミルズの見解。
そのためにロボットも訓練していた、人形を使って。しかし人形を使い果たし補充が必要になった。正確には物足りなくなった。故に本物の人間をターゲットに切り替えた。その結果守るはずの兵士たちの命を奪うこととなった。
人間と同じように成長するロボット。つまりはその時々の状況を加味し、最善とされる選択を行っていく。飽くまでも主観で、である。そして何より最前線(現場)で、である。
人間の想定している敵が不鮮明なことで少々わかりにくいが、人間が行っている訓練とロボットが行っている訓練とを比べた場合に、実戦に近いのはロボット側の訓練という事になるのだろう。ロボットの訓練においては敵が定まっているわけだから。想定できているわけだから。ロボットは人間という敵を想定している反面、人間は何を想定して訓練しているのかが不鮮明。
それ故にデスクで人間を守るために描いたプログラムと、現場でSARがそのプログラムの果てに見たものが違った、といった事象が生じた。
このギャップというのは人間の反復学習というところがロボットには必要ないというところもおそらくあって。正確には学習速度が違うとした方がいいか。人間が状況に応じて反射的に体が動くように沁み込ませておくことと、ただそのパターンをひたすらになぞることの違い。同じパターンの訓練を繰り返すことに意味を見出せない。パターン化されるまでの期間が違うとするか。腕が錆びつかないように訓練をしておくことと、ただパターンをなぞることの違い。こっちの方が良いか。
実は人間たちも訓練に積極的ではなかった。隊長がワインダーとやらに異議を唱えていた。ずっと訓練続きだと。訓練とは何のために行うものなのか。
訓練と実戦の違い。動く的動かない的の話はよくされる。「ラストサムライ」では自分のタイミングでなら百発百中の男が、横でトム・クルーズに急かされ銃を撃たれながらだと全く当たらないというのがあった。
訓練で100%のことが実戦では何%になるのか。訓練でできなくとも実戦でできることもあろうが、だからといって訓練を怠っていいという事ではない。では実戦とは訓練通りの事が必ずしも起こるのか。起こらないとして、ではそのパターン化された訓練には何の意味があるのか。
ここで問題は、そもそも実戦があるのか否か。来たるべき時に、いつ来るかもわからない事態に備えひたすらに訓練を繰り返すことで。
「アウトロー」「ジャーヘッド」とひたすらに訓練してきたものの、実戦にて引鉄を引くことができなかった者が焦点となる作品もあった。
ならば自らで新しいパターンを作りだそうと学習・分析・再プログラミング化したロボットがいましたよとするのがこの作品。
ざっくりとは単にロボットが人間の想定を超えたと解釈すれば良いのだが、ひたすらにわかりにくく難しくするのが好きな性分でして・・・
人間とロボットの違いを、ミルズと現場の兵士たちの意見の相違を交え描き出している。ラストに向けミルズと兵士たちが歩み寄りを見せることで1つ希望を示したところで・・・
兵士(人間) ― ミルズ(ハーフハーフ) ― SAR(ロボット)
という関係性に始まり、
ミルズ(人型) = 兵士(人型) / SAR(ロボット)
ミルズ(デスク) / 兵士(現場) = SAR(現場)
ミルズ(機械) = SAR(機械) / 兵士(人間)
といった関係性も見え、そんな中ミルズはSARのデータを転送され・・・
こっちの方がわかりやすいかな・・・??
兵士(現場) = SAR(現場) / ミルズ(デスク)
兵士(人間) / ミルズ(機械) = SAR(機械)
この目覚めに繋がる。「ザ・ストーム」でも書いたのだが、彼女が目覚めたのはなぜなのかというところが問いで。
人間とロボットとどちらの情報も有している(ダウンロードされた)状態で目覚めた(起動した)彼女はいったいどちら側の存在なのか・・・、存在になるのか・・・
〇最後に
ん~、楽しくない。「トランスフォーマー」みたいにワチャワチャしてるのが楽しいよね。ロストエイジは超絶微妙だったけど。
ではでは・・・
0 件のコメント:
コメントを投稿