2017年6月19日月曜日

スティールワールド(2014)

スティールワールド


~支配からの卒業~


〇はじめに
 あ、スカリーだ。





〇こんな話
 地球がロボットに支配された・・・どうしよ(´・ω・`)





〇支配
 「大人>子ども」という支配関係を、「ロボット>人類」という支配関係に置き換え連動させたことで今流行りのヤングアダルト系な通過儀礼的な作品に仕上がっている。

 ここで考えるべきは、元々ロボットも人類が作ったもので「人類>ロボット」という関係性が築かれていたことではなかろうか。それが突如ロボットが人類を支配するという逆転が起きるわけだが、これを少年の成長譚ものとして描いていることと照らし合わせる。

 子どもが大人へと向け成長する上で大人から脱却するわけだが、脱却したからといって「子ども>大人」という支配体系が築かれるわけではない。子どもは大人となりまた子どもを生むことになる。「大人>子ども」→「大人(元子ども)>その子ども」という新たな支配関係が築かれることになる。ざっくりとは世代交代という話なのだが、親から子へとひたすらにこの歴史は繰り返されている。

 「人類>ロボット」→「ロボット>人類」となった世界で再度逆転を起こそうと躍起になるわけだが、では再度逆転が起こり「人類>ロボット」となったとしたらその関係は元の関係と同一なものになるのだろうか? 別のカタチでどこか違うところへと向かうのではなかろうか。

 ラストの意味深な演出に何か光が差し込めてくるような気がする。


 まぁでもロボットが地球起源かエイリアンかってな話はされてないから仮に後者だったらこの話は意味を為さなくなる。





〇嘘と真
 ロボットは嘘をつかない。規則を遵守し見境無く躊躇の無いロボットや人間がついている嘘を織り交ぜることでロボットの話に信用を置かせることをするわけだが、この「嘘をつかない」というのは必ずしも「真実を語る」とは同義ではない。何か秘密があったとしてそれを黙っていたからといって嘘をついたことになるか。

 つまりロボットが嘘をつかないからといって、真意や本意が剥き出しになるかというと決してそうではなく、嘘をつかなくても騙す騙されるという事象は起き得るということである。

 これを受け唯一ロボット(メディエイター(連絡係))と同期した主人公に目を向ける。ロボットから解放された人類の歓喜を横目に彼は独り空を見上げる。同期したことで彼のみぞ人類とロボットとの行く末を知る、垣間見ることとなった。

 これからの彼の選択肢はというと・・・真実を口にするも良し、嘘をつくも良し、真実を口にしないという選択ももちろんできる。彼しか知らないのだから、知り得ないのだから。劇中真実を口にしても信用されなかったり、ロボットへの反乱の企てに秘密に嘘のオンパレードであった。そんな世界にロボットには無かった選択肢「嘘をつく」が加わる。

 いや元々人間側にその選択肢はあったわけだが、唯一真実とされる象徴がロボットだったということである。しかしそこから見えてきたのは、嘘はつかなくても真実を語らないとすることができるというもので、これは大人が子どもに大人の事情をひた隠しにする姿勢と同義に見える。その中で下される、いやいずれ自らで下さなければならない決断(選択)。ロボットと人類との終わらない戦争の暗示と、少年の成長譚ものとしての1つの括りとでうまくまとめあげたのではなかろうか。




〇余談
 これは1つ男としての成長の何かしらの象徴だったのだろうなぁ・・・



〇最後に
 CGの質感というかデザインというかは好みだけど画的な迫力には欠ける。それだけが原因では無いだろうが何とも起伏が無いお話に感じてしまうというかおもしろくないんだよね。ついつい観てしまうんだけれども。またこういった作品を探してこよう。


 ではでは・・・



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