2017年6月9日金曜日

パンデミック・サイト(2013)

パンデミック・サイト

~メディアリテラシー~


〇はじめに
 無法地帯であるネット社会と終末世界を結び付けたアイデアは非常に評価できる。




〇想起する作品
 「ブランデッド」(2012)
 「アンフレンデッド」(2015)





〇こんな話
 あんまりネットに入れ込むなよ・・・



〇メディアリテラシー
 公開された情報がネット上ですぐに知れ渡る(広がる)しかも無差別にというところと、現実における感染(凶暴化)というところを結び付けたことで、ネットの極端なところでの異常さというところが際立つ。度々話題に上がる「炎上」なんてものがその典型か。その「炎上」というものを目に見える物理的なカタチで表現した作品だと観るのが良いだろう。

 レッドルームなるものが原因らしいが、これがまぁ大多数の人間が利用しており情報収集には最適といった具合で悪循環。爆発的に感染が広まる仕組みが完成されているとしているのも合点が行きやすかった。


 登場人物の紹介がネットに挙げられているプロフィールにて行われる。これは如何に彼らがネットに依存しているのかという意味合いと共に、ネットに曝け出せる自分という一面を繋ぎ合わせ判断される人物像があることを匂わせる。見せたい自分・見てもらいたい自分と、実際の自分とはどれだけのギャップがあるのか。この明るい一面からのこれから向き合うこととなる現実の落差の演出は導入として見事。

 交友交際関係にて自らではないところから不本意な情報が洩れると描いているのもうまい。正確には不本意に受け取られる、か。面と向かって言えないことまでが書き込まれていると主人公は嘆く。ネット上で飛び交う言語が現実にどれだけ適用されているのかを見れば如何にネットの誹謗中傷がおかしな状況になっているかは明白だろう。




 補講にて惨たらしい死体から目を背け気分を悪くする主人公がいたわけだが、これがラストに繋がってくる。

 本来(わざわざ)これはる必要の無いものなはずだ。現状何でも観られるという状態をネットという代物において共有しているわけだが、それの選別が行えるという能力が求められている反面仇となることもある。物事を多面的に捉えたことで結論を導き出すのではなく、ただ見たいものだけを見て(見たくないものは見ない)一面的なものだけで判断が為されるというものである。要は偏りが生まれるわけだ。メディアリテラシーという単語を出しておくか。

 そして発信者にもそれは言えることで、先ほどの登場人物紹介のところに関連している。見てほしいものだけを見せるという。



 最終的に陥るのは否が応にでも事実を突きつけられる状態であるわけだが、劇中彼らが縋った情報は何だったのか。どこから手に入れたものなのか。何故信用に足ると判断したのか。ネットに対処法上がってたぜ、として頭に自らドリルを突き刺せるか。

 そんな極限状態へと陥らせるためにお外に出ずにほとんど家の中で事が起こるのだが、これはお外に出ずともネットを利用することで世界の動向を知ることができるというネット社会を暗に示すものでもあり、低予算を逆手にとっている。世界中で起きていることがお家でも起こる、逆にお家で起きていることが世界中で起こっているという双方向に作用している。

 では本当にそれは信用できるのか??


 あとうまかったのは、主人公もそうであるがその情報を共有する術を有していない人間を描いたことである。現実の世界では何の問題も無く付き合えているわけだが、感染経路が明らかになるとどこか除け者感が先行している。

 そしてさらにうまかったのが、レッドルームなるものにしがみつき情報を得る者たちと、この後に除け者となってしまう人間が別の情報源を有していたことだろう。こちらはデジタルデバイドってな言葉を出しておく。

 ネット(だけに限らないが)の現状をゾンビというジャンルにおいてうまく揶揄していたと思う。


〇最後に
 これ2あるみたいだな。是非観たいな。

 ではでは・・・


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