2015年9月21日月曜日

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンドオブザワールド(2015)



~お粗末~


〇はじめに
 「ジュラシック・ワールド」で脚本がダメ、おもしろくなかったとか言ってる人いたけど、その人たち大丈夫かな。この映画観てゲロ吐いてない?? 心配です。
・・・と、まぁ、前篇を観た後は思っていた。しかし後篇は物語を収束させることもあり、ちと違った感想だ。何しろ素材は一級品だからだ。こういった材料や調味料を用いればおいしくなるとは知っていたのだろう。しかし調理法や調理手順を知らなかった。いや調理器具すら知らなかったのだろう。それなのに隠し味にまで手を出してしまった。残念だ、もったいない。どうせなら食べないことを前提としてまで独創的な創作料理だともっと前篇から開き直ってほしかった。

 

〇想起する作品
 「風の谷のナウシカ」
 「インデペンデンス・デイ」(1996)
 「ベクシル -2077日本鎖国-」(2007)
 「メイズ・ランナー」(2014)

 ウルトラマン、ゴジラ、石ノ森章太郎・・・


〇壁
 前篇で巨人の世界観や迫力に浸らせ、後篇でうまく収めるつもりだったのだろう。見事にスベっている。しかし、後篇の出来が良いとは決して言わないが、この背景はおもしろい。一時期流行った終末思想。荒廃した近未来を少し捻ったカタチ。だが何分見せ方が古臭い。そして前篇から引きずるドラマ要素。これが何とも間が悪い。
 観客が味わうべき感覚としては、「バイオハザード」の1から2への移行が目指すべきところだったのではないだろうか。閉鎖的空間でゾンビと戯れてからの、外の世界でどんぱっち。情報や方法が限られた状況から、一気に広がる世界観。武器、人員、活動範囲、より我々に選択肢を与えてくれる。しかしこの進撃の巨人は、巨人への唯一同等となる対抗手段、一縷の望みをまるで活かしきれていない。なぜなら腰にずっと意味も無いおもちゃを引きずってるからだ。それをもっと使ってたくさん殺されときなさいよ。使いこなせなくったって、使っとけよ。それでやっと巨人化という対等な力が際立つのでしょうが~。


 人間VS巨人という構図。この世界観がなぜ出来上がったのかという謎が後篇で怒涛のように解き明かされていく。開始早々に物語解釈の講釈を垂れ始める。前篇における巨人のうなじがどうのというヒントから路線が確定してしまうわけだが。だからこそこの謎を前篇でもっと引っ張っておくべきだったように思う。前篇で女、子どもをどしどし殺したって見せておくべきだった巨人の暴力と残忍・残虐さ。さらに念押しで対抗手段を使ってでも完膚なきまでにやられておくべきだった。調査兵団全員死亡という説得力すらも無に帰す始末。さすがだよもう。これらにより巨人は何かというネタばらしで明らかになる人間の本質や本能的部分の決定づけが何とも浅い。前篇は30分くらいにして人間バーベキューパーティでもやらせればよかったんだ。前篇最初の教会のシーンだかで某ゾンビ映画を想起させようとしたのではなかったのか。本当に恐ろしいのはゾンビではなく・・・とつなげたかったのではなかったのか・・・・


 超大型巨人とエレンとの壁における対立は前篇でやっていたのでグッドだったが、このラスボス感が私の中での石ノ森章太郎にマッチ。ニヤけるとともに、恥ずかしくなる。
 そしてこの対立がためにひたすら展開するダラダラだらだらとした人間ドラマ。ミカサずっとボーっとしすぎ。くどいんだよ。あの間は何なんだよ。事故? 単体で戦う巨人と、チームワークで戦う人間とかの対比で良かないかい、その辺の対比は。エゴと自己犠牲とかさ。一応やろうとはしてたのか・・・




 東京タワーってのは世界的にどこまで有名なのだろうか。とある番組でエンディング曲を世界を視野に全部英語で綴ったと言っていたが、JAPANを示すならば今も昔も富士山って決まってるんじゃないのだろうか。変に捻ってる感じがする。ま、日本と言う壁から踏み出せない自分の戯言ととられるかもしれませんがね。



 最後の最後の件は流行りの「メイズ・ランナー」的要素を含んだのかと思いきや、おそらくは「風の谷のナウシカ」の原作の方意識したんじゃないかなと。樋口監督「巨神兵東京に現わる」撮ってましたしね。巨人の件もそれに観えるように作っている節がありましたし。でもこの終わり方は一本で撮れたよねという反感買うでしょうよ・・・


〇余談
 巨人エレンが穴に不発弾突っ込むのは、生殖器を持たない巨人に対する皮肉なんだろうな。人間と巨人を可逆的に行き来できることに対する「らんま1/2」や「名探偵コナン」的な疑問を感じるから至った境地であって、下ネタが好きなわけではありませんよ!
 それよりもだ、不発弾処理とか見たことないのかよ。現場だけでなく時折TVとかでも流されるじゃない。近隣住人が避難するレベルもあるわけでしょ。それをま~たどったんばったんとさ~。「ハート・ロッカー」くらい観とけよ~。あと「Fire in the hole!」くらい叫んで欲しかったわ。その場にそぐわないけどさ。


 剣でエレンとミカサがつながった件は、一時期流行った骨伝導の話だよねきっと。血が滴ってるって話だったのかな? 血と血の契約? 
 天国の奴隷か、地獄の自由か、ってので最後の2人の手と手をとりあっていた画は天使だか思わせたかったのか? 堕天使とか?

〇最後に
 食べ物を粗末にするなとシキシマが剣にリンゴを突き刺しながら話していた。あ~、ドリフかと笑ったわけだが、この台詞をそっくりそのまま返す。本当にお粗末極まりない映画。せっかくの高級素材をこうも原形をとどめないまま調理するとは。とある料理を出されて不味いなと食べていたら、これを調理しましたとモノを見せられる。これをどうやったらそんなにもう・・・と。訂正しよう、調味料も知らなかったんだろうな。そもそもの素材のありがたみすら感じなかったのかもしれない。ゴジラが楽しみで仕方ない。

 ではでは・・・

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