~居場所~
〇はじめに
彼女に共感しようとしていたら、いつのまにかに彼女を送り出す者の気持ちになっていたという・・・
「Thanks」「Thank you」って言葉がよく響くんですは。
〇想起する作品
「LIFE!」(2013)
〇こんな話
犬とラクダと私と・・・
〇目覚め
旅に出るまでの惹きが足りない。そもそも彼女がどのような人物なのかということが伝わってこない。はじめの字幕の「どこに行っても居場所がない者がいる」というところから、人間像を敢えて見えてこないようにしているととってもいいが。しかしその関係で、時間の経過すらも淡白なのである。時折差し込まれる〇〇日後という字幕。彼女の変化だけでそれを感じ取るのは中々に難しい。彼女の渇いていく様はさすがであるが、私は渇けなかった。あ~、共に渇きたかった。はじめに書いたこととも関連するんですよね。白けた彼女にそそられてしまう自分がいる。そして彼女を理解する方法として、共に旅をするのではなく、見守るという選択をしてしまうのである。
---
いや人間像は見えるのか。彼女の抱える闇が我々には直接描かれないだけで。友達も彼女のことを応援しつつも理解してあげられない部分があるような手紙を残していたし。彼女の旅ですからね。彼女本人も理解していなかったのだろう最初は。見つける旅ですし。それと同じ境遇に立たせるのなら、このフワフワ感はありか。
そもそも都会においての毎日同じことを繰り返す生活に嫌気がさしてはじめた旅であって。この淡々とした描かれ方は狙ってなのかもしれない。そこに最後「ラクダとの旅は変わり続ける」と。彼女の変化を感じ取ることができればいいわけか。渇いた彼女が最後潤う様が堪能できるわけか。
---
想いかえす。時間の経過を示す画が無かったかと。ひとつに目覚めである。彼女ははじめ目覚まし時計で起きていた。いや起こされていた。それがある時から変化するのである。彼女は目覚めると周囲を確認するようになる。人が、ラクダが、犬が、いたりいなかったりする。過去回想にも入る(最初から挟まれてたか)。これは何を意味するのか。
最愛の犬の死にそれが見られる。
彼女ははじめ自分1人(独り)ということを強調している。しかしラクダの調教、住まいや食事、助成金や荷物等々の準備、且つ旅中の案内人は水の提供、しきたり、ひたすらに他者が介入してくるのである。カメラマンが言う「皆孤独だ」という言葉。そこに愛犬ディギティの死。彼女は何を想うのか。
なぜディギティが死んだのかというところを振り返る。食事の最中にもっと食べたそうにしていなかったかと。ではなぜディギティは満足できなかったのか。ディギティはその前に獲物を見つけていた。しかし彼女は案内人の言う掟を思い出すのである。女は切ってはいけないという。そして掟に従い獲物を手放すこととなる。これを食べればディキディは満足し、毒を誤飲することもなかったかもしれない。全ては彼女が自分以外の他者の存在を何かに、旅に見出したがためだ。「Go home」の件で彼女にとってのディギティという存在は際立っていた。ゴールディの件もだな。以前にも同じようなことがあった節がある。そんなディギティの死により彼女の変化はさらに際立つのである。カメラマンの水もそうだ。点々と置かれる水を見つけるたびにカメラマンを思い浮かべたことだろう。そして途中のバイクで縦(横?)断男は現実だったのかと。彼女のこの時の心境からどのように捉えるべきなのか。
彼女はひたすらに独りを好んだ。友人が訪ねてこようと白けた顔さえしていた。独りで全てを完遂することに意味があるのだというように。そのために他者の力も嫌々我慢して借りていた。終盤やらなければよかったとは言うものの、各国の記事、愛犬とキャメルレディという絵を目にする。これは彼女の知らないところで世界的に周知され承認されていることを意味し、且つ彼女の自らの振り返りにもつながる。観光客が写真を求めてきたりするシーンも幾度もあった。彼女の避けてきたもの、それこそが1つ居場所だったのではないかと。
彼女の求める居場所というキーワードに対して、時折映し出される経路を示す地図の存在。そしてコンパス、ラクダや愛犬ディギティもそうだ。さらには行く先に置かれる水と、置いていくカメラマン。案内人に地元民。協力者やお友達。その他もろもろ。それぞれが何とも言えないエッセンスになっていて。そんないつか無くなる、いやすでに、元々無いかもしれない。これから築かなければならない、築けないかもしれないものの存在。それを彼女は目覚めにおいて確かめようとしていたのではないだろうかと。昨日は・・・今日は・・・明日は・・・
勝手に考える。目覚まし時計があることで朝の目覚めからどのような行動を起こすのか。何時に〇〇をしないといけないからと、ゴールを定めてはいないだろうか。辿りつくべきところから逆算をして行動を開始する。しかしそれが無かったらどうなるだろうか。
元々の旅自体が目的地からの逆算ではあるわけだが、これがまだ途中目覚まし時計を失ってからの彼女にとっての水と被るのだ。そこに水があるというゴールが存在し、そこから逆算して旅が行われる。そんな中、旅の目的の喪失。ここではじめて、1つの答えに一歩近づくわけか。彼女の選択は・・・・と。
〇最後に
いや~、ミア・ワシコウスカさすがだよな~。それに尽きるな。いやいや、犬もラクダも演技派でね。さらにはラストのロビン・デヴィットソン本人の画がね、またジーンと来るんですは。旅に出ようかな、夢の中へ・・・。
ではでは・・・
0 件のコメント:
コメントを投稿