~聴き入る~
〇はじめに
少年時代ならではであろうが、このサクセスストーリーには少なからず大人の事情が絡んでくる。そこで一旦後ろを振り返り、彼を想っての行動なのか、はたまた大人たちの地位や権威、世間体のためなのか(政治がらみの話もされてますしね、打倒!ウィーン)と考えたくなるのだが、その思考をかき消してくれる少年たちの歌声。今は彼らの歌声に、耳を傾けようじゃないか。
〇想起する作品
「ハリー・ポッター」シリーズ
「ドラムライン」(2002)
「デタッチメント 優しい無関心」(2011)
「エンダーのゲーム」(2013)
〇こんな話
僕の歌を聴け~!!
〇原点回帰
とある完成された集団において新参者が頭角を現していくという王道的サクセスストーリー。潜在能力や、才能の開花を我々に自覚させることが鉄則。これを彼の周囲の人間の能力を提示し、彼らに認めていってもらうことで我々は彼の立ち位置を把握していく。
ここが何とも軽く見える。彼が今どの程度の評価で実力がどこまでついたのかという構図が見えない。しかしだ、そんな心配は無用だった。全ては彼の歌声で、彼の歌声をお前ら自身で聴いて評価してみろと。
いや~、美しかったね。私は音楽にはまるで精通していない人間だけどね。何なんだろうね、絶対に失われることが分かっている歌声だから美しく感じてしまうのか、美しいからこその儚さなのか。
あとは彼の参入による原点回帰はすばらしかったね。主人公の登場で新しい風が吹く。ある程度の環境や財力が鍵となるであろう少年合唱団の実情。原石を探し出し育成することよりも、もう輝いている輝きつつある即戦力となる宝石を探し求めている。主人公が楽譜を読めないことで、基礎を軽んじるような姿勢を見せる一教師。合唱団の成長よりも自らの位置を確保しようと躍起になるライバル。
この状況に陥っては見えなくなっている世界があるわけです。上を目指すあまりに下に目を向けない、いや耳を傾けない澄まさない。そもそも何のために誰に向けて合唱をしているのか、届けているのかという根本的な部分。行きすぎたこの姿勢はどこかの国で話題になった一般国民と上級国民という分け隔てにつながる。共通認識や共有できる財産の無い者たちが一丸となり何かを成し遂げることが可能なのか。時間はあまり残されてはいないぞ。そんなことに想いを馳せてしまう。
・・・まぁ、自分がのし上がればこんな考えきっと頭の隅にも置いておかないでしょうね。ただ邪魔なだけだもん。ノイズでしかないし。
〇最後に
いや~、劇中の合唱もすばらしかったんですがね、エンドロールで流れる歌ね。これまたすばらしい。夢や希望、切り開いてやりたくなるね。
ではでは。
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