2016年9月6日火曜日

イナフ(2002)

イナフ


~欲望~

〇はじめに
 いつでも逃げられるような備えと、母が娘を守ろうとする気概故に観ていてひやひやした。




〇こんな話
 優しかったはずの夫がDVに奔り出した。

〇欲望
 男女(夫婦)という関係。夫が起点になるわけだが、そこから表出する関係性は、妻=独占欲/夫=支配欲である。

 夫の思考は家事育児は妻のすることであり、その環境を整える(特に金銭面)ことが夫の役目でありそのためであれば何をしてもいい。代償なのだと。仕方の無いことなのだと。

 その前にあるのが単純に物欲。それが欲しいという。ミッチは欲しいものを手に入れるためならば何でもする。

 ありますよね、何かが欲しいという欲求は常に。欲しいと思えば思うほどその欲求は強くなっていく。焦らされれば焦らされるほど期待が強まっていく。勝手に手に入れたときの快楽を追い求めている。そして実際に手に入れたら・・・ 事前に想定していたことと実際とのギャップがあるわけでして。それが満たされないと、仮に満たされたとしてもさらなる刺激を求めまた次のものへとその感情は向いていく。うん、ミッチの感情はわからなくもない。


 この作品の何がうまいってイラつくかって優位性を保てているからこそ卑劣なことができるっていう男たちの下衆っぷりよね。相対的に状況的に観て確実に相手が不利であり抵抗できないとわかっていて甚振る。このゴミくずどもが。

 これのおかげで友人知人家族というところの優しさが際立ってくるの。繋がりというものが見えてくる。しかしそれは夫側でも同じでして。あちらの場合はネットワーク(情報網)っていうんですかね。いつバレルのか、見られているのか。忍び寄ってくる恐怖が尋常じゃない。ウェイトレスという境遇であのシチュエーションでの馴れ初めだったらもう一つ奥(裏)は疑わねえよな~・・・ やらしい話を作りやがる。

 それならばと私が強くなれば良いって考え方が時代を感じさせるわけか。護身術どころでなくなっているのが堪らないね。反撃にて一時的な行動不能ではなく戦闘不能に陥らせるほどの体術の習得。確実性を高めるために相手のホーム(アウェイ)で完全ホームを作り上げる演出がまた格別だ。







〇最後に
 この作品への究極の欲はジェニファー・ロペスになら思い切り殴られても蹴られても良いと思ってしまう男がいるところなのかな・・・ ミッチのボロボロな姿はイラついた側からしたら爽快であり、男からしたら快楽でもある。ミッチは実際に昇天したわけだからね。どうなんだろう、そこまで狙ったのかどうなのか。

 ではでは・・・





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