2016年3月16日水曜日

不屈の男 アンブロークン(2014)

字幕翻訳:戸田奈津子


~雑~


〇はじめに
 反日映画だったのか否か・・・。私の感じた渡辺という人物像から少し迫って行きたい。

〇想起する作品
 「フォレスト・ガンプ/一期一会」(1994)


〇こんな話
 アンブロークン、赦し・・・



〇渡辺という存在
 彼は収容所の責任者であり、英語日本語ともに堪能な人物である。米兵には英語で、日本兵には日本語でそれぞれ丁寧に指示をするくらいに冷静沈着な男だ。しかしここがひたすらに気になって仕方が無かった。

 彼は米兵たちに言う。君たちは大日本帝国の敵だと。それ相応な待遇をすると。そしてひたすらに暴力に奔るのである。

 はてはて気になる。なぜ彼は敵国の言葉を使い彼らに丁寧に説明をするのか。敵国の人間として相応の待遇をするならば、わざわざ気を使ってやる必要も無かろう。日本語で罵倒し、訳も分からない状況に貶めてやればいい。

 彼はこの時点で、英語を使用している時点で、敵国に屈服しているのである。それを無自覚に認めている事になるのである。



 この時代において英語を話せる人間はどのような存在なのか。それなりの家に生まれ、教養を持ち、エリートな人間ではないのか。何かしらあったようだが・・・。仮にその事件で性格がひん曲がったのならば尚更彼の描き方はおかしく感じるのである。

 ときたま日本兵に英語で指示をする場面も見受けられた。ここをもっと配慮すべきでは無かったのか。特に材木だか鉄骨だかを肩に抱えキリストだかを模しているだろうザンプに、倒れたら撃てと日本兵に英語で指示を与える渡辺。ここで彼がブロークンマンになるのは必至。ここでやっとこさ、彼が動揺を垣間見せるとし、その上で重要な場面ではなかったのか。アンブロークンVSブロークンの対比が活きてこない。

 そして最後。「見るな」と。ここでまた彼はわざわざ英語に言い換える。いったい彼は何者だったのか。そこまでに米兵に気を使う余裕は何なのか。そもそもこの前の段階で、「Dont look at me」(だっけ?)を「見るな~!!」という発音とある程度関連させておく必要があったのではないのか。印象付けておく必要が。

 そもそもこの場面は何を言っているかわからなくたって良いはずなんだよ。

 身体が崩れたのはザンプだったわけだが、本当に崩れたのはどちらかは明白になるわけでね・・・。



 突発的だが、例えば・・・

 皆さんはどうだろうか。日本という地において、我々のホームグラウンドにおいて、外国人に英語で話しかけられた時、どのような反応を示すだろうか。おそらくはほとんどの方がテンパってしまうのではなかろうか。そして必死に英語で答えようとする。

 これがアンジェリーナ・ジョリーに映る日本人の姿なのではなかろうか。地の利があるにも関わらずわざわざこちらに合わせてくれると。

 言っちまえば最初から下に見られてるんですよ。渡辺がわざわざ英語を使うのも、決して米兵への配慮などではなく、同じ土俵に上がるという意気込みでも何でもない。ただ製作者がこの点を何ら配慮しないで描いてしまったというだけ。・・・なのではなかろうか。

 できれば日本人は違和感を示して欲しいところだ。

 収容所に行く前の話をした上官だかのさ~、箸の持ち方よ・・・



 渡辺が父親と共に写る写真が最後に描写されていた。以上の事を踏まえ、この写真を観て、いったい何を想起しろというのか・・・ 何が想起できようか・・・

 渡辺という存在を悪とするのは致し方ない。彼の真意や本意はわかることはないのだから。描くべきでもないのかもしれない。しかしだ、それらを考慮したところで、この作品は粗さが、雑さがひたすらに目立つ。



 日本がひたすらに被害者であったとは言わない。どこの国も、今も昔も、戦争というものに苛まれていた、苛まれている、苛まれていく・・・。同じように加害者であり、被害者であり・・・ このあたりの問題がまた難しい訳であるが。この作品は果たしてそこまでの展望をして作られたのか否かと。そこが問題なのであって・・・・


〇余談
 漂流が長い・・・

 大海で傷ついた仲間に喰いつくサメと、小さなボートの上で傷ついた仲間を助ける人間ってな比較はうまかったんじゃないのかな・・・

〇最後に
 どうもところどころ粗さが、雑さが目立つ。もう少しドラマというものを勉強していただきたい。その点で、脚本に同じくコーエン兄弟を迎えた「ブリッジ・オブ・スパイ」との比較もしていただきたい作品でもある。

 ではでは・・・

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