~兄弟~
〇はじめに
これは兄弟という彼ら2人であれば完結していた関係性に、他の事象が加わることで浮き彫りとなる、実は互いの馴れ合いや妥協によってなぁなぁだったという事実から、大きくは世界のカオスを見つめる作品だ。
〇こんな話
兄弟からはじまる~、マネートレインゲ~ム!
・・・特に深い意味は無いですね、はい。
〇兄弟
黒人と白人の兄弟。兄は真面目で実直、弟はおバカってな話なんだけど、これは2人のコンプレックスにより形成された性格で、この2者で関係性が完結していることを見せるためのものなのよね。うまい具合にそれぞれの行動にて帳尻が図られている。折り合いとしておくか。悪く言えば馴れ合い。
そこに他の者たちが絡んでくることでうまくいかない、ギクシャクしていく。これが劇中で繰り広げられる騒動でして。
1番大きいのが新任の女性捜査官。彼女は黒人と白人に対してのラテン系だそうな。そして男に対しての女ってな存在。放火魔にて女性を強く意識させたりしている。微妙な三角関係が形成される。
事件で言えば最初のおとり捜査。犯人を2人が地下鉄内で追跡するわけであるが、マネートレインが関与したことで射殺されてしまう。おそらく2人だけでひたすらに追いかけていれば少年を生きて逮捕できたことだろう。彼ら兄弟2人の完結された関係性だけでなく、他の関係性(ルールや規則とすればわかりやすいか)が関与してくることで事は兄弟が描いた様にうまくはいかない。
もっと突っ込めば、少年は銃を所持していなかった。マネートレインに近づくものは撃てとの指令に従っただけなのだが、追跡する2人に銃所持を確認しているのである。彼らが追いかけていなければもしやというのも有り得るのである。そもそも地下鉄内の追跡も無く、マネートレインとの遭遇も無かっただろう。
さらに言えば彼らがおとり捜査をしなければ、彼がこの時点で犯人とされることも無かったわけだ。法を犯す事も無かったわけだ。
っとま~どこまでも遡れる・・・
そして弟が企てたマネートレイン強盗の顛末でもそれは描かれる。お金をくすねている。何やかんや有耶無耶に。
これは兄弟2人だけなら何ら問題は無いわけだ。口論にはなるがまたもや完結した関係性になる。しかしよく考えてみる。彼らが属していた組織の制約、住んでいる国における法といった制約。これはどうなるのかと。
実はこの線引きという点もうまく挿み込まれている。
1つに弟の借金の件。ビルの屋上から落とそうとされるのだが、これに対し兄は冗談めいて落とせと言う。しかし彼らは冗談の通じない連中でってなところ。
これは相手の出方を伺うという交渉術というか線引きの一種で。本気度を探るというか。「スラムダンク」の魚住が審判がどこまでファールをとるのかっていう線引きと一緒ですよ要は。逆にわかりづらいか・・・
そしてマネートレイン強盗計画の企て。兄貴が言うのである。やりたいがバッヂが無けりゃなと。警官バッヂが、いや彼らが就いている職種(職務)がまた善悪の基準を定め、行動抑制にも通じているのである。この時点でマネートレインの模型くすねてるんですよね(笑)。このときはお2人さん笑い話で済んでいるが、最後は口論となるってなところとも通じるのか。そして弟はクビとなった直後にアレだ。わかりやすい。
で、局長もマネートレインだけなら何ら問題は無かった。局長の方針や価値観も何ら問題は無い。しかし一般人を、お客を巻き込んでしまった。ここが彼ら兄弟との対比で、1つの顛末、逮捕される姿を描いている。
―――――
最近だったら廃棄品を横流ししていた問題。昔は〇〇でも食べたという開き直りを見せていたわけだが。これは別に個人の責任ならば何ら問題は無い。自己責任でそれをそのように認識して食べたのならば。よくありますよ、賞味期限・消費期限切らしてしまうこと。これで他者を確実に巻き込む商売に転用したのが問題で。そしてその事実を伏せていたこと。
個人の価値観を押し付けるのならばまだしも、それを公にせず集団におけるルールに則っているとして送り出したのである。
まぁよくいますね。集団のルールと個人のルールを照らし合わせできない人。しゃあないんですよ、それでしか他者から認められる方法を知らない人たちですから。しかもそれが無自覚とキタもんだ。これは長くなるからまた別のところで取り上げよっと。
―――――
これがテーマというか問題提起なのだろう。複数の人種、複数の事態が絡み合うことでカオスとなるという。
地下鉄でお金をスられた事も兄貴ならば信用してくれたかもしれない。何度も助けられ、疑われもしていたが何だかんだ信用してくれていた。しかし女性問題があり、他の様々な事象が絡み合い互いを素直にさせない。
1つ1つの事象が順番通りに起きるとは限らない。解決してから次が起きるとは限らない。1つ成功すれば見る見る内にうまくいくこともあれば、1つ失敗しただけで負の連鎖に陥ることも。それも全て各々が四方八方を向いて生きているからで。それを少しばかり同じ方向に向けようとするのが、ルールや規則といった産物で。でもまたそれの優先順位や解釈が様々に広がるからまた問題で。
だんだんと話が逸れていきそうなのでこの辺りで終わりにするか・・・ まとめられなくなりそうだし・・・
〇最後に
「48時間」もそうだが、ここまで様々な事象を内包させアクションやコメディで観せてしまうのがすごい。「ズートピア」を観なければただのお馬鹿映画として捉えていたことだろう。自らが問題に直面しなければ何ら気にすることは無いっていう人間の心理及び盲点をうまくついているんだろうな。ただただ感服するばかり。
ではでは・・・
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