~100年早かった~
〇はじめに
完成披露ジャパンプレミアにて鑑賞。
ただただ悲しかった。涙が出そうだった。
原作の方は3,4巻でドロップアウト。人間が巨人に為すすべもなく蹂躙される様に興奮を覚えた口で、巨人と渡り合えるようになったからとさよならした。あ、「ベルセルク」大好きですよ。
〇想起する作品
海云々の件は「ダークシティ」を思わせたけどな。不発弾のところ。
〇こんな話
撤退を知らない男たちが、後ろを振り返ること無く、今、突っ走りはじめる。
・・・果たしてどれだけの人間が後篇まで付いてきてくれるのだろうか。
〇人間VS巨人
この構図が何ともいただけない。
人間が為すすべもなく蹂躙される様を描ききれていない。女、子どもを直接的にグロテスクな描写につなげられないのが枷となっている。もう少し何とかしてほしかった。PG-12でこれまでなら十分合格点なのかもしれないが。
そして大きさの対比をさせるのも必ず人間が手前で巨人が奥に陣取っている。この構図の繰り返しではさすがにバリエーションが無さ過ぎる。 巨人に喰われる様を描いたのは良かったか。しかしそれは人間側が巨人側に合わせる画だったわけで、逆に巨人が人間に合わせてくる画を描いてくれた方がより凄惨さは伝わったであろう。人間の目線に巨人の顔が降りてくるとか。壁穴から覗きこまれるシーンはありましたよ。しかし殺風景なところで、人間と、巨人の顔という対比は無かったんですよね。圧倒的な戦力差というか、人間はガチなのに巨人はナメプっていう対比がね。ま、難しいか。よくやった方なのかな。
立体機動とかPOVで良いと思うけどな~。そっちの方が粗が見えにくくなると思うんだが。撮れんのか・・・。舞台挨拶で「クロニクル」って単語が出てきたのに。全体的に巨人の見え方が我々視点じゃないんだよな~。そもそもの世界観から入れないんだけど。
・足元
巨人の足元で為す術無く逃げまどう人間。そして逃げまどう人間の足元で何もできない赤子(母子)。巨人に踏まれる人間、人間に踏まれる食べ物。
何かしらの意味があったのでしょう。しかしこれが、先ほど書いた人間(手前)と巨人(奥)を同時に映し出す構図の正当化にしか思えない。
・銃
もっと使って良かったんじゃないかな。巨人に対しての銃の威力をもっと見せつけてから、あの自決のシーンを描くべきだったんじゃないのかな。 銃が効かないことを散々に見せつけられて、より小さい銃に弾を込めている人間を見て何を想うのか。一矢報いようとしているのかもしれないと期待をさせて・・・。巨人への恐怖が増すじゃないか。私の感覚がズレてるのか・・・
・生殖
巨人の生殖方法が不明。人間は言わずもがな。この対比もな~、安っぽいよな~。
男女、親子、友人等々の人間のドラマ部分を見せつけて、それが見えてこない巨人に無関係に殺られていく様がそそるわけでしょ。チューチュー、揉み揉みとさ~。戦場でさ~。敵地だぞ、おい。そもそもこいつら終始緊張感が足りないんだよ。経験不足な兵士というのは考慮に入れるよ。しかしだよ、夜中の隠密行動でさ、巨人を起こさないように音や声を立てるなと言ってるのに、ガタゴトとトラックうるさいし、ドアの開閉でガシャンガシャンとさ。お腹の音が際立たなかったのは大失敗じゃないのか・・・。音だけじゃなくキャラが立つってところでもさ。そしてそこら中をライトで照らしていると。
そもそもそもそも何で夜なのかと。一番リスクが小さいからさと。でもさでもさ、巨人との100年ぶりのコンタクトを昼に描いていたことを含めるとさ、周り暗くすることでセットを隠せるよねと。そして市街戦や立体機動もさ、夜であることに違和感無くせるよねと。なんか下心が見えるんだよ。
そういえばベイビー巨人?巨人ベイビー?、・・・巨人の赤ちゃんが出てくるわけだが。これは伏線なんですかね~。
〇説明調
邦画に良く見られがちなこの確認作業。何んの前振り(伏線)も無かったのに突如解説を始める。答えを提示する。
一番はミカサが巨人をエレンと判断するところだろう。2年間会ってなかった仲という設定をどうも忘れている気がするのだが。
その前のひと件も気になる。なぜかハンジが巨人の闘い方を見て知能を有していると判断するのである。ただ殴り合ってるだけじゃないか。どうせなら武道の精神や型をエレンが習ってるとかの設定にしておけばよかったじゃないか。その特有の動きを観て人間なのではないかと察するとか・・・。
エレンとヒアナがイチャイチャする件がさ。父親になってくれってさ。いきなり言われたってポカーンでしょうが。なんで全部口で説明するん。なら日常パートもっと描いて家族や友人、恋人のつながり大きくしておけば良いじゃないの。別れ際だけ描かれてもさ、ピンと来ないのさ。
そんな説明調なのに、最初に描かれるエレンのフラストレーションが感じ取れないという・・・。閉鎖感が足りないんだよ。壁の外を見てみたいって広大な土地に広がる壁を観せられてもさ~、どうなん? わざと青年設定にしてるんだろうね。社会への不満をため込んでいる典型的な層という。それにさ~、最初の超大型巨人よ。インパクトを与えるのには有効よ。でもね、あいつあの大きさなら壁またげたじゃん。穴空けるだけ空けて終了って。全体像を観せないのは焦らしなんだろうとはわかるけどね。ならもっと小さな巨人たちが人間で遊ぶ画を観せた方が良いじゃないのかな~。人間ナメられてますやん、と。そこを人間がチクチク針刺してくのがおもしろいんでしょ??ファンは??違うの?? 巨大な悪を前に小さな正義が奮闘すると・・・。まぁ壁に対しての対比なんでしょ、エレンと大型巨人は・・・。
〇女優陣
・水原希子
ビジュアル(表情というか目力、要は貌ですは)が良いのに、そのビジュアルにお芝居がついてきてなくて少し残念だった。
傷の位置を脇腹でなく背中にして、エレンに傷を見せる際は上裸で良かったと思うのだが。よりアクセントを加えるのであれば、シキシマに脱がされることで見せつけられると。上裸のミカサをエレンが後ろから、シキシマが前から眺める構図。これでNTR要素完璧。わ~お、カ・ゲ・キ。シ・ゲ・キ・テ・キ。
・石原さとみ
「B地区 生殖器」
「ヤりたいの!!」
「こんなの初めてええええ!!」
これ言わせたかっただけだろ。
そして舞台挨拶にて監督が言う彼女への発言、汚してしまったどうのこうのが下ネタにしか聴こえなかった。
さらに
「粗探ししないで」
て、あんた、悪い女だな。私は逆に好感持てましたけどね。彼女には何かが見えていたのでしょう、何かを感じとってしまったのでしょう。
食べるシーン、ありゃダメだ。食に対する思い入れが感じられない。ただ口の中に物を詰め込めば良いってもんじゃないでしょうが。すごく下品に感じてしまった。 あとペースト状でなければならなかったのか。これがより下品に見えてしまう原因でもあっただろう。食糧危機であることはわかる。しかしだ、使いこなせもしない新兵全員に立体機動装置配ってるでしょと。ここら辺矛盾しませんかね。
・・・あ~なるほどね、口元から白いのが見えることに意味があったのね。巨人さんたちは企画ものの男優さんたちね。
弓矢は爆弾くらいつけてほしかたよ(ボソ)
〇余談
このクオリティで「彼岸島」を撮っていてくれたのならば大絶賛していたところだ。しかしそこは残念。「彼岸島」にそんな力は無い。
原作者が別物で撮ってくださいってのがクサいよね。保険だったんでしょ。作品の出来不出来に関わらず原作は売れるだろうしね。
グロテスク、恐怖を求めるなら、観せ方としては園子温監督の「リアル鬼ごっこ」の方が断然おもしろかったけどな。R-15だけど。なんか評価低いけど。
〇最後に
「ウルトラマン」や「ゴジラ」を観るつもりで観ると、特撮云々ですばらしさを感じ得るのかもしれない。最後のエレンの戦いがドヤドヤなところなのか。それとも最初の大型か。しかしその分野ではるか先を行っている、今の日本の技術では到底追いつくことがないであろう領域の作品に、毒されていない人間などいないわけで。これを日本の超大作だと言って売り出すのであればそれ相応の出来が期待されるのだが、この作品は世界との差が縮まったと見せつける作品では決してなく、逆に開いてしまった差を嘆く作品となってしまった。ワールドプレミアにおける5分間のスタンディングオベーションが本当だったとして、それはいったい何を意味するのか。うさぎと亀におけるうさぎの余裕か・・・。いつかは・・・・・。・・・・・・・。
「命、捨てます!」
・・・間違えた
「心臓を捧げよ!!」
・・・ではでは。
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