2015年1月14日水曜日

万能鑑定士Q モナ・リザの瞳(2014)

万能鑑定士Q[DVD]


~ただただ文句が言いたくて~ 

〇はじめに 
 すっげ~、つまん・・・失礼。 
・・・こちとら、仲間由紀恵で鍛えられとるんじゃい!! そんなこけおどし全てお見通しだで。 

〇想起する作品 
・「劇場版TRICK」 (2002)
 騙されるネタバレの構図がトランプの確率云々だかのトリックと同じなんですよね。 
・「鑑定士と顔のない依頼人」 (2013)
 鑑定眼といいましょうか・・・

〇こんな話 
 綾瀬はるかとモナ・リザが見つめ合うことで起きる化学反応。あなたはこの現象を解明できるか!? 

〇騙されない心理
 最初にたった一色の画像加工をも見抜く莉子の鑑定眼を演出している。さらに音を音でかき消すマスキングを見抜くことで、あらゆる分野の知識も持っていることで彼女の有能さを示したつもりだろう。しかしこれが活きてこない。なぜだかキャラが落ち着かない。故に鑑定士を選定する集会において、ダークホース的立ち位置を確立できていない。ある発掘されていない、世間から認められていない才能を持った人物が、外の世界に出ていくことでその世界に影響を及ぼすという構図がこのシチュエーションでのおもしろさのはずだ。
・・・そうか、比較対象がいなさすぎたのか。ある枠では彼女の能力を測りきれなくなってきたからこその、外の世界に出ての比較。その前提が無いんだ。単純に彼女の能力を観せられただけでは、強敵を倒していくであろう期待感が湧きにくい。それでキャラが定まらないんだ。故にすごい冷めた目で見てしまう。全くと言っていいほど話に入り込めない。そんな人はひたすらに気になるところが気になって仕方なくなることだろう。

・・・結果としては確立する必要はなかったわけだが。この集会あんまストーリーにおいて意味ないし。罠にはめるためにだけ意味があったわけだし(意味大ありか)。でもね、世界的権威に認められたとして、彼女を特別待遇により鍛えるという状況に持ち込もうとしたんでしょ。それを鑑賞者の彼ら(犯人側)に対する信用とし、疑うべき事象として排除することで騙される心理につなげようとしたわけでしょ。この作品において心理をはたらかせる一番に重要な要素であったはずだ。それが全く伝わってこないんだよ。なぜ彼女が選ばれたのかという演出がまるで共感できないというか、理解できない(腑に落ちないという表現が正しいかな)。そこに疑問を持たせちゃ駄目でしょうよ・・・、いや疑問を持たせてもいいんですよ。というより持たせるべきなんですけれども、これは最初から胡散臭いんですよ。それを以下に少し・・・

・言語 
 まず言語に関してか。フランス語のみによる指導。美術品の真偽を見抜く直感力を鍛えるトレーニングにおいて、足手まといになるからと主人公に言語習得を強要する。さも自分も一緒に指導を受けているかのような演出としてあるものだ。そして協力して本物を探し出しハグハグと。

 そもそも通訳が入れないってあるのか。トレーニング法が秘伝であるとか言っていたんだったか忘れたが、そっちが勝手に人選んで鍛えるとか言ってんだから、もっと待遇が良くてもいいだろうよと。そっちで通訳用意しろよ。


・ビジュアル 
 指導する者が若い男であることが最初から引っかかる。本気で騙すために、画の熟練者として印象付けるのなら、白髪混じりに始まり老齢な役者を選んでいたはずだ(まぁ主人公だけ騙すことができればいいからそれは解消されるのか)。それをしないということは、女とできてるよねと(最初ではわかりませんけどね)。

 あと絵の違いが全く分からん。偽物どうのと言われましてもね~。もっと講義してほしかったな~。劇中あったのかな。自分が観てなかっただけなのかな・・・。


・トレーニング方法 
 莉子もモナリザの本物の絵に対して雰囲気で違いを判断した風なことを言ってはいる。トレーニングはそれを鍛えるものとするようなミスリードであろう。 

 「TRICK」好きな人は、二人で協力して本物を探し当てた時点で大体察しがついてしまうのではなかろうか。劇場版トリックでもこの構図がありましたよねと。マジシャンである山田が騙され、天才物理学者である上田が理論的にそのトリックの種明かしをするというのが。あるキャラのあるジャンルが苦手であるという一面を披露するだけの演出をこの作品はただただ引き延ばす。この演出が活きるのは、ある程度のキャラの下地があってこそだ。この作品だけではきついだろう。さらにはただ文書を読むだけでしかも一日で言語習得という所業をもやってのけてしまう。ついていけないですよ。主人公に共感や興味を持ててこそ、意外や意外という設定が活きてくるもので、彼女にそのような感情が持てなければこの作品はおそらくアウトでしょう。途中で止めてもいいのではないでしょうか。

 最初でトリックに気付いてしまうと、それ以降のミスリードとしてあるであろう演出がまるで意味を為さなくなる。 
・鑑定力を鍛えるトレーニング、 
・綾瀬はるかの不調 
・モナリザの瞳 
・・・が結びついていくわけだが、この演出はトリックを見抜いていない前提で為されているに過ぎない。真相に辿りついてしまった人たちへの配慮がまるで感じられないのだ。残念。 
 擁護するのであれば、莉子の騙される過程が美沙のそれと同じという演出が為されており、最後の二人の関係云々に通じている・・・はず。

 一番最初のトレーニングにもっと細工を施しておけば良かったはずだ。最終的に美沙が二分の一を選択し偽物を引き当てるわけであるが、ここは莉子に選択させておくべきだった。この二人の共同・協力作業と切磋琢磨させる様子として観せておきたいのはわかる。しかしだ、これでは莉子の鑑定眼が関係ないことが明白になってしまう。50%の確率だろ。賭けてみろや。
 当てた場合、最初に自分の鑑定眼(ここでは直感力)を正しいと思い込ませ、そこからじわじわ刷り込みを行っていった方が効率は良かったのではないだろうか。マグレだなととぼけたって良い、これからのトレーニングで成功率を100%にしていこうとか何とか言ってさ。直感で見抜けとかテキトウなこと言って信じちゃうんだからさ。どうせバレねえよ。
 もしハズレだったなら美沙が私は逆だと思うとか言って、彼女の優位性や上下関係を示せたではないか。自信が無かったのなら、すり替えができるようにしとけば良かったじゃないか。それでも不安なら手先が器用な手品師でも雇えよ。もっと自信が無いのなら、全てはずれにしておいて、掃けた奴をすり替えて後で持ってこいよ。そうすればお前ら最初から間違ってたよば~かってなるわけじゃない。後々の解説が面倒になるだろうけど、それぐらいはやっておいてほしかったな~。そうすれば犯人達の用意周到具合だって印象付けられるだろうし。他にも一枚排除する度に絵をシャッフルするとかさ~。観客の目を欺くにはいろいろと細工できたでしょうよ・・・。

〇文句 
・万能感
 多国の言語も万能設定にすればいいのに。辞書を用いて、たどたどしく言葉をしゃべるところにギャップ萌えの要素を取り入れたかったのだろう。わかってないなぁ。知識や行動的なところを全て万能にして、得意分野の中にだけ唯一苦手なことがあるって設定にするんだよそこは。例えば・・・裸婦画の鑑定だけできないとか(つまらんかな)。こんなんだったらただ鑑定士としての映画でプレミア感出したかっただけだと思われるぞ。 
 そして万能と言われる者の努力というギャップ。こういうの好きね~、ジャポンは(ジャポンだけじゃないか)。そしてその設定がまるで意味を為さない。彼女が用いる方法に共感を得られないからだ。感情と結びつけるのは良いよ。でも言語習得における努力が書物読むだけて。努力家設定なんだろ、すぐ海外に発つとかにすれば良いんだよ。発音聴きとれんだろうし、発声できないだろと。あ、海外に来てたのか・・・て、軽井沢じゃね~か。それじゃあ、最初の出会いのところで言語習得を彼女が行動に移すくらい強要しとけば良かったんだよ。何週間か期間設けてたよな確か。海外飛べるじゃん。というより本場にいるんだから、期限ギリギリまでここに残って言語の勉強するとかできたではないか。
 こんな無茶なことやるならさ~、本の紙食べちゃうとかぐらいはしてほしかったな~。朝食とかの画を入れてさ、昨日本食べすぎちゃったから食事がのどを通らないとか台詞だけでもいいから入れればいいんだよ。

・演出要素
 なんでセクシー要素を入れないんだろ。美術品というか、こういったアートが絡む作品には必須アイテムだろ。さらに綾瀬はるかという恰好の対抗馬がいるのに、なぜそれを利用しないのか。対立する人物はもっと女としての色気を持つ女優を使うべきだった。それか綾瀬はるか側に色気を持たせようとボディラインが出るような衣装にするべきだった。なんでライン出させないんだろう?? そういう役が無いですよね、綾瀬はるか。

 最後もだよ。自分で言っちゃうんだよ。美術品の鑑定眼には優れるが、人の心は見抜けないみたいなことを。「鑑定士と顔のない依頼人」を是非観てほしい。この台詞を映画全体で鑑賞者に感じさせてくれるから。台詞では決して言うことなく。 

 まぁ最後の鑑定士と言う立場を位置づけたのは良かったかなと。莉子に質問するわけです。「このモナリザは本物なのか?」と。鑑定士に本物と認められて我々は本物と判断できるわけで。つまり認めなければ本物かどうかはわからない。どうせわからねえんだから偽物でも眺めさせとけよ、となっているかもしれないわけです。「グランドピアノ」という映画で、どうせ演奏失敗したって観客はわからねえよと言ってる奴がいたなあ。芸術という分野は何とも特殊で、表現する側は完全に個人の感性に委ねられるではないですか。しかしそれを素人が感じ取るには何かしらの指標が必要となると。その傾向を創り出してくれるのが鑑定士と。そして一番ざっくりとした指標が本物か偽物かと。 

〇余談 
 「H29」って何。この作品が鑑賞者に対しての皮肉(H29)になってるってこと?? 

 モナリザが磔に、火あぶりにあっています!!
これ笑うしかないだろ・・・そしてここがこの作品随一の見どころだ。単に救出までの間をもたせるためにこんな非合理的な演出を施してしまったのだろうが、何とも稚拙だ。燃え広がらないように大きなバケツに入れて燃やすとかさ~、できただろう。そんなのも用意してないのかよ。あと偽物と本物のフリとしてね、絵が燃えていく(燃えうつるところから)のを見せる必要は無いんだよ。絵が燃えてしまうのを見せる必要があるんだよ。そして見分ける要素だったものをわざわざ残しておくかね。 
 このモナリザ火あぶりの刑において、建築に詳しい人日はく、「高層ビルにはスプリンクラーが無いのはあり得ない。・・・あるとしたらだけど電源を落としているのかもしれない・・・」とのこと。 

 で、Qはくだらないの、Q?? 

 どうせなら主演を仲間由紀恵と阿部寛にすれば良かったんだよ。コメディ色強くして、三谷幸喜脚本・監督とかにして。そうすればネタ映画としてもっとおもしろくできただろうに。 

 一緒に鑑賞した綾瀬はるかを好きな友人は、下の中くらいの作品だと言っていた。 

〇最後に 
 ただただ文句を羅列してしまったが、じゃあお前がストーリー創ってみろやと。いいえ、私はそのようなことはできません。ただできあがった者を批判するしか能がない人間です。いや、批判すらできてないか・・・・。

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