~信用~
〇こんな話
過去に誘拐されて生還した女性。過去を乗り越え?妹と生活をしていたところ、妹が失踪する。彼女は過去に自分を誘拐した犯人が戻ってきたとし、警察に駆け込むも相手にされない。実は彼女には精神的な病歴があったのだ。そして過去の彼女の誘拐に関する証拠が何1つ発見されていなかったのだ。彼女は独自に調査を開始する。果たして真実は・・・。
〇信用
話す相手によって嘘を織り交ぜ、さらには情報収集したものを繋ぎ合わせ、あたかも自分が見たかのような状況で、自分がその状況に置かれているかのように話を進める。真相を突き止めたいが故であろうが、ここから我々鑑賞者の彼女に対する信用は失われはじめる。次から次へといろんな状況に身を置き、相手から情報を引き出すが、それは全て彼女が創作した話だ。
彼女は少女誘拐事件がある度に警察へ連絡もしていた。しかし彼女自身の誘拐事件同様証拠は見つからず、彼女に虚言癖があるとまで思われており、警察は捜査・捜索に踊りでない。逆に彼女が追われてしまう。
最初にも描写されるのだが、彼女は誘拐事件の真相や証拠を掴もうとひたすらに独りで探索をしている。その努力がやっとこの作品で実ったのだが、そこに重点を置くと、その行為や忠告を無下に扱った者たちが何とも馬鹿に見えてくる。何と警察は無能かと。なぜ彼女を信用しないのかと思う方も多数いることだろう。しかし考えてみてほしい。ある人から話を聞き、常にその話の確証を得られないとしたら、その者の言うことをこれからも信用するだろうかと。確かめるのにやれることはやりきったと思い込んでいたらそれは尚更だろう。劇中ではたまたま彼女の言うことが正しかったことが証明される事件が描かれただけだ。それまでの彼女の情報は、いずれも事実確認ができずに、空振りに終わっていたものばかりだった。しかし以前の彼女の虚言癖ともとれる行動は警察の話の中でしか出てこない。そして警察が彼女にあきれている様子を見せることでそれを演出するのだが、気持ちは彼女への疑いよりも擁護する方に傾いてしまう。故に警察が無能に見える。警察視点で見たら、また違った見え方ができたことだろう。証拠出されたら終わりですがね。まぁ、最後の終わり方からして、警察無能演出をしたかったことは明らかでしょう。
結果論なんですよ。結果が出なきゃわからないじゃないですか。その情報が、その人物が信用に足るものなのかどうなのかというのは。その信用をつくりだすのは、その人物や情報の出してきた結果が正しかったか、間違っていたかの過程の繰り返しなんですよ。
・常に正しかった → 全幅の信頼を寄せる
・常に間違っていた → 絶対に信じない
・正しいより → ?
・間違いより → ?
・五分五分 → 疑ってかかる必要がある
・・・などなど。
最後は助けを求めたパワーズ刑事に事件のあらましを直接言うのではなく、署に誘拐事件の確たる証拠を提出するという。大ダメージですよね。たった一人の女性に劣る警察組織。彼女の誘拐事件の捜索にヘリやら警察犬やら総動員だったとか豪語してますからね。彼女の最大限の皮肉(復讐かな?)です。なんだかんだ警察を擁護するような発言をしましたがね、まぁ、スカッとしましたよ。
〇最後に
世間的に、警察と一人の女性とでどちらに信用があるのかと。それぞれの背景や社会情勢やらが関わってくることでその天秤はどちらにも傾くだろう。そこをうまくついたのか、ただの警察への皮肉だったのかはわからないが、なかなかにおもしろい作品だったと思う。
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