2015年5月6日水曜日

トライアングル(2009)

トライアングル[DVD]


~輪唱~ 

〇はじめに
 怖い。そして何よりでかい。

〇こんな話 
 とある女性のるーぷ(るんぷるん)しているものを楽しむお話。

〇かえるのうた 
 この映画のループを読み解く上でキーワードとなるのが輪唱。かえるのうたが一番わかりやすいだろう、というより輪唱をかえるのうた以外知らない。1小節歌ったら次の人が歌いだし、終わったら最初に戻りまた歌いだす。ループが複数存在する。
 もう少し言うならばミルフィーユ的な感じか。するべき行動が交互になってるんですよね。

〇ループ
 まず言っておくのがこの映画は現実世界ではない。これを最後に割り切れないと本当に腑に落ちなくなる。腑に落ちない分考える要素がひたすらに生まれ、ループに関して考えを巡らせることでさらに面白味を生むのだが、それがつまらない人にはつまらないと思う。噛めば噛むほど味が出るするめみたいな感じか。早く飲み込みたいのに飲み込めないもどかしさというか・・・いったい何を言っているのか。

 ループ映画としては非常に考えやすく、わかりやすい作品ではあるのだが、鑑賞者に自覚・理解させるための演出が丁寧すぎるために、矛盾点が多い。量が変化するものと変化しないものがあるのだ。銃と銃弾は減らない、何回も使用している。まぁこれは彼女が掃除するのと、彼女が船の外へ持ち出すので解消されてはいるのか。死体やペンダント、メモ用紙は増えていく。こちらの方が問題か。これらはいったいどこまで積み上がるのかと。ゲームとかの表示限界みたいに理解してもらえばいいだろうが、こういった数という意識は有限であることを意識させ、終わりはどこにあるのかという思考につながる。そしてそれは終わりと対を為すはじまりの存在にも目を向けさせることになってしまう。
 このループに関する演出の丁寧さが、ループのはじまりと終わりを気にさせる要因になってしまっている。ループを扱った作品において、理由や原因を求めることに面白さがあるのはわかる。しかしこの作品は先ほども述べたが、現実世界ではない。単純に彼女がループしていることを楽しむ作品である。それぞれのループにおける起点はあれど、彼女がループに陥った原因となるはじまりや、ループを脱したことで辿りつく未来や終わりなどない。無限ループ地獄だ。


*補足
 納得されるかはわからないが、彼女のループしてしまう思考を少し。
 彼女は死んだ息子に会うために船に乗り込む。そして友人を殺すことで、息子に会うことができる。息子が死ねば、また友人達に会えるとも言える。この繰り返し。どちらかを立てるともう片方が・・・。息子と友人とどちらかは必ず死んでいる(生きている)ことになる。どちらかの死(生)を望むことがループの原因である。両立不可能。苦楽の繰り返し。どこに幸せを求めるのか。

 まぁ彼女のループが成立し得るのは、彼女の記憶が関連していて、ここがしっくり来ないかもしれない。船の中では2パターン(3人)の彼女が描かれるわけだが、船に乗ってくる及び降りていく彼女は一人なわけですから。そして一番大きなループに突入する際には、記憶がリセットされている。いや、実は全ての記憶があって・・・と考え始めると先ほどの量の変化のところと関係してきてワケワカメになる。時間的な戻りもあると思っとけばいいのではないだろうか。このループは何かしらの蓄積があると、成立し得なくなる。これが演出と矛盾するのだが・・・。結局のところ、現実世界ではないという割り切りができるかどうかだ。

〇最後に
 ホラー映画における恐怖の軽減且つ増幅にセクシー要素を入れはじめたのはいったいいつからなのだろう。ひたすらにあのでかいものに目が行ってしまう自分がいる。

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