2014年1月23日木曜日

危険なプロット

危険なプロット危険なプロット (2012)

【監督】フランソワ・オゾン
【出演】ファブリス・ルキーニ / エルンスト・ウンハウワー / クリスティン・スコット・トーマス / エマニュエル・セニエ / ドゥニ・メノーシュ / バスティアン・ウゲット / ジャン=フランソワ・バルメール / ヨランド・モロー / カトリーヌ・ダヴェニェール


★★★☆ [70点]「歩める人生は一通り」

他人の生活を盗み見る・覗き見るという快楽に陥るのはそういうところから来るのだろう。自分では決して歩めない・歩めなかった人生。それを他者あるいはものを介して自分に投影する。しかし、それが自分の人生に反映されるとは限らない。
この世界にはあらゆる人生があり、そのどれかが変化したところで影響を受けないものがあれば、劇的な変化を生むものもある。つまり人生はそれぞれに相互関係が直接的であり間接的でもある。関係すらしていないかもしれない。

ある事象に対し多角的に楽しむという演出の方法としてグランドホテル方式なるものがあるが、この作品は何かを基軸に描かれるグランドホテル方式とは少し異なり、クロードが書く作文を媒介に現実世界と他者の世界(空想?世界)が共存する。この作文という媒介だからこそ描ける世界観と、その世界観を広げてくれる言葉選びというか遊びというか。そしてその才能に翻弄される人たち。これがおもしろい。

芸術に対して
・才能があるが、まだ荒削りで原石のクロード。
・自分で創り出す才能は無いが批評はできるジェルマン。
・王道を知っているからこそその王道からの脱却に苦しむ、ジェルマンの妻。
この三人の関係性が絶妙で、三者を簡単に言ってしまえばそれぞれ上から邪道、仲介役、王道となる。
まず前提として芸術は理解されてこそ芸術足りえるというところがあり、そこが面倒くさいところなのだが、それがあってのこの映画。そして人物たちの関係性。

全体的にフランス語の発音により醸し出される雰囲気がなんというか素敵。
他者の生活を覗き見るという映像の演出もまたおもしろく、フェードインとフェードアウトが演劇を観ているようでそそられる。

アドバイス的な何か。
映画の紹介としてサスペンスチックな印象を受けるかもしれないが、それを念頭に置いておくと消化不良感が否めなくなる。
作文の世界と現実世界の境界線を見え難くしているというか、わざと曖昧にしている感があるのでそこまで深読み・深入りするのは危険なのでご注意を。


Posted by foxtrot on 2013/10/05 with ぴあ映画生活

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