2014年1月23日木曜日

オーバードライヴ

オーバードライヴオーバードライヴ (2013)

【監督】リック・ローマン・ウォー
【出演】ドウェイン・ジョンソン / スーザン・サランドン / ジョン・バーンサル / バリー・ペッパー / ベンジャミン・ブラット


★★☆ [50点]「映画のウリと実際」

麻薬カルテルというからくりと、麻薬を取り締まる法律にハまってしまった息子を救出すべく父親が奮闘するお話。

〇からくりとは

・カルテル

麻薬組織の取引において危険なものは身内を使わず、お金や薬に飢えている学生を使い捨てとしてコキ使う。そうすることで組織との繋がりを悟られずに済む。

・法律

売買に関わっている仲間を密告すれば減刑が許される。それに利用される者たちがいる。

〇全体として
まず息子の逮捕までの時間が短く、
事の起こりまでがスムーズでとても入りやすかった。しかし、そこからが長い。
その長さが父親という立場・境遇故の制約からくる、モヤモヤ感の演出によるものだから仕方がないことなのかもしれないが、かなり間延びしがちであることは否めない(モヤモヤ感というのは悩むというところから行動を起こすまでの時間)。これが緊張感やスリリングさになかなか直結してこないからまたダラダラと感じてしまう。一人ならまだいいのだが、話の展開上二人の父親が出てきてしまうからその感情をより強く感じてしまう。
割と序盤でサスペンス要素のキーであった息子が逮捕された原因が解明されてしまい、サスペンス要素が皆無になる。そこから主人公の行動と息子を助け出すということのつながりが、主人公による事件の及び麻薬カルテルの解明ではなく、主人公と検事との取引だけになるのであまりパっとしない。というのも主人公の行動が直接息子の救命に直結してこないからが故。息子が人質に取られてそれを父親が助け出すという構図であれば、そのために麻薬カルテルをつぶすという流れでシンプルかつ爽快感にあふれるのだろうが、これは事件の解明と息子の救出が直接的でなく検事との取引という間接的なつながりであるから、一筋縄でいかないというか終盤一気にくるものがない。
実話を基にしているという点で、その辺がこの作品には枷になっている気がする。しかし、これは別にサスペンス・アクションを売りにはしているものの、おそらく楽しむところはそこではなく、日本でいえば「それでも僕はやってない」のような社会のシステム・法律などの矛盾や抜け穴といったものに振り回される人間たちについて一時考えさせる、というようなところにある。のだと考える。それを踏まえれば父親としての悩みや覚悟・行動といった演出や演技は見事で、ダラダラと感じたと述べたところはまた違った風に感じることだろう。

〇サスペンス・アクションというウリ(まとめ的なもの)
まず映画の前印象としてハゲ・息子救出・陰謀論があるため、どうしてもブルース・ウィリスというノリを期待してしまう。ある目的のためならば人様のものを平気で破壊していくという覚悟というか潔さ。ドウェイン・ジョンソンという俳優をこの映画の全面的に売りだしてくるからこの前印象と実際に観たときのギャップが大きくなる。無理にいろんなものを詰め込もうとしている感じがしてしまう。
この作品は父親という立場・境遇故の自己保身と他者保身を見事に共存させ、軽快に且つスタイリッシュもいれこもうとしているものの、それが淡白になりがちで、映画の流れとしてはとても単調に感じてしまう。せめてもの救いは実話を基にしているということ。これが無かったらサスペンスとしてもアクションとしても非常に中途半端で駄作としか言いようがなくなってしまっていた。
ドウェイン・ジョンソンという人は私の勝手な印象なのだが、ブルース・ウィリス的なノリとシュワちゃん的なアクションが共存できるような人だと思っている。おそらくまだキャラが定まっていないというか定まらせるような作品を作ることができていないのと、この手の作品には向いていないと感じた。しかし、この作品だけでいえば父親としての演技は見事で彼だったからといっても過言ではなかった。これからに期待する。


Posted by foxtrot on 2013/11/30 with ぴあ映画生活

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悪女 AKUJO(2017)

~アクションは爽快~ 〇はじめに  韓国ではこの方はイケメンの部類なの? 〇想起する作品  「ニキータ」  「アンダーワールド」(2003)  「KITE」(2014)  「ハードコア」(2016)  「レッド・スパロー」(2018)...