2014年7月2日水曜日

ザ・ワン(2001)

ザ・ワン[DVD]


~経験値~

〇はじめに 
 ジェイソン・スティサム出てる。ジェット・リーと割と共演してるんだなぁ。 

〇想起する作品 
 「マトリックス」(1999)
 「ジャンパー」(2008) 
 

〇こんな話
 多元宇宙論。複数の宇宙が同時に存在し、それぞれの世界への扉は開かれているものの、世界の均衡を保つために移動は制限されていた。しかしある男が全能(ザ・ワン)になるために、パラレルワールドにそれぞれ存在するもうひとりの自分を殺してまわる。倒した者たちのエネルギーは生き残っている者たちに振り分けられていく。

〇ザ・ワン 
「この宇宙で一等賞になりたいの俺は、格闘で」 
 彼がパラレルワールドに存在するもうひとりの自分を殺してまわるのは、多元宇宙の中で一人しかいない存在、全能(ザ・ワン)になるためとされていたのだが、最終的に明らかになる彼の本当の動機はというと、ただ一番になりたかっただけ。 

 ドラゴンボールみたいなものか。天下一武道会を制し、地球の危機となる敵を全て倒した。次はあの世で一番になろうっと、みたいな。オラ、ワクワクしてきたぞ、と言わんばかりに。強い奴と戦いたかったんですね、わかります。男は「強さ」というものに魅了されるものです。そしてそれを証明するものにはさらに執着します。それが彼にとってはザ・ワンという称号だったわけです。 

 まあ要するに、彼はオンリーワンではなく、ナンバーワンを目指していたわけです。ナンバーワンになった時に、オンリーワン、この映画で言うザ・ワンという称号と力が得られるというオプションつきで。

〇デジャヴ 
「前にどこかで会った?」とは最後の恋人だかの台詞。 
 人に対してそのような意識をすることは少ないかもしれないが、どこかで見たような光景に遭遇することはないだろうか。実際に過去にそれに似た経験をしているのかもしれないが、思い出せないといったような。我々の存在する宇宙には数多くのパラレルワールドが存在しており、その中にそれぞれ同じ個体が存在する、とこの映画ではされている。それを是とし、最後のデジャヴを解釈するのならば、もうひとりの自分が有しているエネルギーが、死とともにパラレルワールドに存在する同じ個体に流れ込んでくるというのを、単純なる力だけではなく、記憶や知識などといった経験の蓄積と捉えることはできないだろうか。自分が経験した事象ではないが、どこがで見たことがある、会った・遭ったことがあるといった事象は、別の世界に存在する自分が経験した事象であるという風に。 しかし経験の共有だけであれば、死というきっかけ以外に何らかのちょっとした事象で、それぞれの世界にいる自分とリンクしてしまいそうだが。そうなると我々が普段感じるデジャヴという体験は頻繁に起こりえて然るべきということになる。つまり、デジャヴは多元宇宙論の根拠ともなるのか。
・・・あ、多元宇宙論はこの世界を説明する上で的を射ているな。ご都合解釈だけど。

 ひとつだけ注文をつけるのならば、彼自身にもデジャヴ体験が欲しかった。単純に戦闘力が上がるというのは、最後の最強VS最強まででしっかりと描かれている。しかし既視感や既知感などの経験といった事象が抜け落ちてしまっている。最初に囚人を護送するという同じ構図で、囚人としてと警官としてとでそれぞれパラレルワールドで描かれるわけだが、同じ構図、展開をデジャヴを活かした展開にしない。ひとり危険を察するといった描写はあるため、それがデジャヴの代わりとしてはたらいているのかもしれない。 

〇最後に
 別の宇宙(世界)では違った世界が、違った人生が歩まれているわけで、そんな世界を覗いてみる方法があったとしたら是非とも覗いてみたくはありませんか。覗いてしまったら、希望か絶望か何かしら感ずるものがあるでしょう。しかし、そこには姿形は同じでも、結局は全く異なる自分がいるわけで。まあ詰まる所、別の世界に何人自分がいようと、もうすでにあなたはザ・ワンなのです。

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