2014年7月21日月曜日

ジャッジ・ドレッド(2012)

ジャッジ・ドレッド[DVD]


~正義~

〇はじめに 
 シルベスター・スタローン主演の「ジャッジ・ドレッド」のリブート作品。 

〇想起する作品 
 「ザ・レイド」(2011) 
 タワー制圧ものとして 

〇こんな話 
 あるタワーで起きる麻薬組織とジャッジとの戦いを描く。 思考を読める超能力者(ミュータント)の存在が新しい。

 残虐な描写を過剰に為すことで、暴力による正義・法の執行を正当化しているようにしか見えないというのが率直な感想。バイオレンス感が半端ない。

〇演出など 
 新入りを迎え、ドレッドが指導者という形で事件にアプローチし、ジャッジという仕事と事件の捜査に関することをうまく解説してくれる。とともにドレッドの有能さアピール。余念がない。 

 体感時間を究極に引き延ばす麻薬。これをスローモーションを使う理由にして、銃撃戦やらを綺麗に観せるのか。なるほど。

〇未来というギャップ 
 ジャッジにも腐敗はある。汚職ジャッジ。未来世界において、現代の警官ものと同じことを描くのはやはり皮肉めいていておもしろい。未来において現在と変化しているもの、していないものを描いてくれると、とてもその世界に共感できるというか、SFに入りづらい人にはとてもいいのではないか。しかもその変化というのが全て人類に対してプラスになっているとは限らないところがまた堪らない。世界観からして荒廃してるんですけどね・・・。

〇正義 
 今回のドレッドは仮面、制服を一切脱がない。これは私がジャッジ、正義と言う絶対的基準であり続けることを示しているのか、それとも素顔だとスタローンよりも正義と言う基準が曖昧になるからなのか。前者であってほしい。悪がいる限り正義に休息はない。休んでいる、迷っている暇はない。基本的なヒーローものと違って日常パートが描かれないから単純な比較はできないのだが、ある種完成されたヒーローといってもいいのでないだろうか。法律=ヒーローという設定をうまく活かしているよな。ヒーローというのは基本アナーキーというか、権力的なものに属さない。それを絶対的基準である法律と結び付けてしまうとは。

 相棒が人の心を読めるという能力を有していることが、悪を裁くために執行される絶対的正義と称した暴力をうまく緩和している。実際のところそこまで緩和しきれていないが。悪の側にも仕方なく従っていたり、洗脳されていたりがあるわけで・・・。能力を通しての正当性だったり、感情移入だったりをうまく描いているとは思う。

〇最後に 
 最後自爆しようとする敵に対しての銃弾を通す壁と、電波を通さない壁。今までは人の命を奪うのに簡単に通過していた薄いはずの壁が、自らの命を救おうとする際には打って変わって分厚い壁と化す。皮肉なのだろうか。お前(悪)の思い通りにはなるものばかりではないという。 

 この映画における正義とされるものを正当化したくはないが、この映画における悪の描き方を見ると、ジャッジという存在をかっこよく思ってしまう自分もいるわけで。正義や悪なんて基準は「時・場・人物・事件設定」で変わるわけで、そんな曖昧なものを我々はどう現実世界において判断していくのかということが大きな問題となる。熟考されたし。

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