2014年12月7日日曜日

THE GUEST ザ・ゲスト(2014)



~懐へ~ 

〇はじめに 
 こら~、おもしろい。何だこの物語に引き込まれる、掻き立てられる音楽は。そのまま勢いにノっていかせるのかと思いきや、核心に迫るまでに焦らすは焦らすは・・・。でも追いかけちゃうぞ~、という気にさせられる。「ドライヴ」の監督が絶賛するのもうなずける。 

〇こんな話 
 ケイレヴという息子を亡くした家族の下に、その息子の友人であるという人物が訪ねてくる。彼は息子に家族のことを頼まれたと言う。彼は巧みな心理トリックで家族の懐にあっという間に入り込み、家族の害となるものはひたすらに排除していく。家族の動向が好転し始めた時に、彼の秘密を知ることになってしまう。いったい彼は何者なのか・・・。

〇懐への入り方入門 
 自分の身を守るためとはいえ、如何様にして彼は家族に入り込んでいったのか。 

 一歩引く、それなりに断るということがポイントであろう。最初からのこのこついていったりしない。一回こちらで断り、そちらの許可を得ることで、よりその場の関係性に浸透していきやすい状況を作り出す。  
 まず最初の挨拶にて母親に「家に入らない、だか、寄ってかない」という自分に対して許可を求めさせる質問を彼はさせている。この辺が見事なんですよ。ヴァンパイアものかと思ったくらいだ。まぁある種の化物だったわけだが。家に他人を入れるという行為はなかなかにできるものではないだろう。何か特別な事情か、親しい者しか招かないというこの一線が大きい。しかしそこを乗り越えて中に入ってしまえばこちらのもの。というのを彼は序盤で済ませてしまう。もう彼の手中だ。その後も彼は自分から何かを求めるようなことはせずに、相手側に望むものを出させるように事を持っていくことで、疑りにくい且つ断りにくい状況や関係性を創りだしていく。自分から追いかけるのではなく、断ることで一歩引き相手側に追いかけさせ、相手側にペースを握らせてるかと思わせ、実は全て自分の手中と。さらにはその相手から許可を得る内容として、心理学のテクニックでドア・イン・ザ・フェイスと言われる手法が用いられており、その提案や要求を相手にさせるというそれがまた巧みで・・・。
 こんなん社会の常識か?・・・簡単にまとめると世渡り上手だったわけです。

 彼の世渡りスキルとは別に、彼が家族へ介入することを可能にした事象を補足すると、その家族に起きていた状況・環境が関係していて、それは息子の消失という心の隙間への介入だ。息子という隙間ができたところに、息子の知り合いという同じような年頃・境遇の男が現れたらどうなるのか。その穴に近いもので埋めようとするのではないか。近いものでも埋まらない隙間を、近いものから得られる情報でさらに埋めようとしないだろうか。彼との関係を深くしていこうとしないだろうか。そんなこんなで彼は見事に家族と言う関係性に収まっていく。

〇諸刃の剣 
 優秀な兵士を創り上げることがアメリカにとっての悪を倒すことにつながるという有益。しかし時としてそれは自国アメリカの脅威とも成り得る。そんな矛盾と言うか皮肉もこの作品には含まれているのだろうか。兵士としては優秀という言葉が出てくる。兵士として「は」だ。アメリカの言う通りに動いてくれるとは限らない。

〇最後に
 いや~、おもしろかった。新しいようで、どこか懐かしい雰囲気を漂わせ、とんでもな展開に持っていく流れ。ツボです。

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