2016年11月20日日曜日

アウト・オブ・タイム(2004)

アウト・オブ・タイム

~掛け違い~


〇はじめに



 これエンディング曲。



〇想起する作品
 「ランボー」(1982)
 「アドレナリン」(2006)


〇こんな話
 人違いからお注射ぶすうううううう。


〇掛け違い
 麻薬とPTSD由来で戦っている時代が違うとする描き方はおもしろかった。

 ただここの比較して観せるやり方だが一々それぞれの見えている光景を転換してスピード感で観せてしまうよりは、彼がどんな状況に陥っているのかをじっくり観せた方が良かったように思う。彼が見ている世界で起きたことを事後、現在の世界に置き換えて観せる。逆でも良い。彼の幻覚を観せないで、ただ何も無いところで狼狽する様を観せる。サスペンスやホラー、コメディでよくやる手法だろう。

 この作品はとある勘違いや人違いから始まった事態だということで、掛け違いというところを意識してのことだろうが、これと同時に主人公の過去と現在という対比もあった。戦友、親友を死なせてしまった。変えることのできない過去を背負い主人公が抱えてしまった闇。そんな過去に囚われ払拭できない彼の記憶を現在に向ける、繋ぎとめるのが戦友の妹であったわけだが、この観せ方のおかげでどうもその肝心なところが活きてこない。

 当然だが主人公が主体であるが故に映像としての観せ方はこのままでも良いのかもしれない。現在を生き過去に囚われている男が麻薬の所為でフラッシュバック以上に過去を追体験することになる。現在と過去の区別が今まで以上に曖昧になっていく、交錯していく。そして彼が妹に話していなかった事実があったというところに繋げることで彼は現在に繋ぎとめられる。いや、未来に繋げるんだよね。この経緯は伝わる。

 しかしここでキーとなる妹の存在をあの過去と現在が交錯する場面でもう少し植え付けておかないとどうも人間ドラマのところが甘く感じてしまう。彼女が現在へ引き戻したのだとするところを強調しないと。彼が見えている世界の観せ方にもう少し何か欲しかった。

 本来PTSDを患っていることが導入としてあるわけだが、その次の段階としてある麻薬の影響が、ポンポンと過去と現在の光景を入れ替えられる様で観せられると今まで彼が苦しんできただろうこととの差異をあまり感じられない。彼の中でこの光景は以前からあっただろうからだ。

 彼は当初から過去と現在を行き来していた。それがあの場面で一気に過去に引きずり戻されるわけである。しかし我々はというとあの場面でようやく過去と現在を行き来するようになる。つまり彼から一歩遅れていることになる。ここがイマイチピンと来ない理由であろう。彼の視点を理解しようとすることと、我々視点において見えてくる掛け違いというおもしろさに幾分ギャップが生まれてくるわけである。


 その解消として、彼が勘違いしている様を彼の見ている光景だけでなく、彼の行動や癖といったところで観せてもよかっただろう。彼が今何を見ているのかというのを彼視点だけでなく傍から見て印象付ける。当時使用していただろう仕草や合図。誰かと勘違いしてそれを使用したとしてもおもしろいかもしれない。未来というところに繋げる上で、どちらか一方だけでなく過去というところで2人が繋がれる何かしらのアイテムがあってもよかった。1つに親友(兄)の死の真相があったわけだが、やはり全体の描き方として弱く感じてしまう。



〇最後に
 展開としての映像の観せ方は理解できるが、掛け違いというところで三者が入り乱れることになるので、何かしらもう少し観せ方に工夫があるべきだっただろう。

 まぁこれはもうそれぞれの感覚感性の部分だろうからどうにもならんものでもある。


 ではでは・・・



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