2016年8月27日土曜日

88ミニッツ(2007)

88ミニッツ


~証言の信憑性~


〇はじめに
 朝目覚めてこれ観たら・・・





〇こんな話
 アル・パチーノゾーン。美女ばかりが寄ってくる。

 キムをもっと大事にしろよ!!





〇騙される心理
 機能していたかどうかは定かではないが、少しだけ挙げておくと・・・

 ・ジョン・フォースターを弁護していたのが女性であるということ

 ・女性を猟奇的に殺すのは男性だろうという先入観があること


 そして選択肢として与えられる、共犯者の存在/模倣犯/フォースターは無罪、というもの。

 これらを踏まえ、容疑者としてキムの恋人が挙がったり、ローレンの革ジャンの男という目撃証言が繋がってくるわけである。


 これらの前提となるものの観せ方はうまかったように思う。正確には先入観故の行動。それが我々に言動における簡易化と効率化をもたらし、さらには混乱を引き起こす原因ともなっている。

 中でも、

 マンション(アパート?)の煙騒動にて、階段で立ちすくむ老婆を助けるシーンだろう。

 煙騒動という事件において、

 エレベーターが機能していない状況で、

 階段という場で、

 老婆という人物が立ちすくんでいたら?

どのように判断するだろうか。それぞれの設定を考慮し、助けなければならないという選択を取るわけである。今日の晩御飯何にしようかしらと呑気に考えているとは思わないわけで。


 講義における教授というのも最初にあった。先生が絶対なわけである。生徒が減ったなというのに対し、あなたが追い出したのでしょ?と。もう死んでる人間が生きてるかのように振る舞ったのを信じ込んだり。

 あとは爆弾か。絶対に無いではなく、あるかもしれないという前提で行動する必要がある。万が一を想定して。





〇証言
 裁判における証言の信憑性の話は「ソロモンの偽証」および「デビルズ・ノット」で確か多少なりとも触れたと記憶しているが、この作品はその証言というところに囚われ過ぎた気がする。そのおかげでサスペンスとしての面白味に欠ける。

 最初の裁判にて弁護士が語っていることと、猟奇殺人鬼とされるジョン・フォースターがインタビューにて答えているところでそれが示されているわけだが・・・



 裁判の勝敗を決定づけるのは証拠及び証言だ。過去に戻って実際に誰がどのように犯行を行ったのかなどを精査するわけではない。そもそもそんなことは不可能だ。人の記憶から、残された証拠から、それを探るしかないのである。推測するしかないのである。補うしかないのである。この作品では証言が決め手だった。被害者の、そして主人公(専門家)の。

 作品の始まりにて殺人鬼の犯行が描かれる。しかしそこに犯人の顔は映し出されていない。使った道具が丁寧に映し出されている。ジョン・フォースターが犯人だと証言した双子の片割れが犯人の顔を実際には見ていないということと、後日犯行がどのように行われたのかという推測でモノを言っているに過ぎない、ということなのだろう。

 被害者は今まさに犯行が行われている最中に正常な判断ができるのか、記憶できるのか。そして後日部外者がその犯行の様を正確に捉えることがいったいどこまでできるのか。



 主人公が与えられた88分という時間。大きくは妹が殺されるのにかかった時間なわけだが、それと相まってタイムリミットがあるということが少なからず判断に焦りをもたらすようになる。全てを疑う時間は無い。どこかで何かが正しいと判断し行動する上での前提を構築しなければならない。限られた時間から限られた情報を得、それを基に推理していくしかないわけである。

 これがひとつ、ローレンの「革ジャンの男に襲われた」という証言を鵜呑みにするというところだ。男性には執拗に話を聞いていたのに、女性とわかるとすぐにスルーするのである。


 この作品はひたすらにその対立だった。大きくはもちろんジャックとフォースターだ。ジャックが裁判でやったことは、被害者に偽証させることと、それを基に陪審員の心を掴むことで。フォースターは弁護団の心を掴んだ。ジョン・フォースターが無罪であると信じる者が多数いること。そしてそれに心酔してしまう者がいることは示されていた。法廷ではジャックが、弁護団ではフォースターが信じられたわけだ。前提だったわけだ。

 周りに多くいる女性を信じる及び疑うというのと、信じ込ませるというのも対比だったのだろう。

 ジャックは88分という時間の中で限られた情報をある前提の基推理を始めた。ローレンはフォースターの事だけを信じた。マイクは犯人から与えらえるジャックが犯人であるという情報を基に答えに到達した。ガイはキムがジャックにたぶらかされているのではと。

 それぞれがそれぞれに限られた情報を手にし、前提を基に、それをめぐって行動した。この描かれ方は中々だったが、そこまでおもしろくもない。



 最後の宙吊りの演出は堕ちるのは簡単ってなところなのか。というより逃れられない。血が下へと滴っていく様も狙っていたか。引き上げる・引き留める存在がいれば。しかしそれはそれなりの労力を要する。フォースターと繋がった携帯電話を投げたのも、ローレン(リディア・ドーアティ)が落っこたのも、上で留まった人間との対比なのか。





〇最後に
 88という数字には何の意味があるのだろうか。横にするととか? Love and Kisses?


 ではでは・・・


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