2014年6月13日金曜日

スノーピアサー(2013)

スノーピアサー[DVD]

~列車とシステム~

〇はじめに
 キーワードとしてあるのが「進化論」「閉鎖生態系」。映画前後にでもこのワードを確認していただけると、この世界観をより楽しめるのではなかろうか。

 〇こんな話
 温暖化を打開すべく策を打ったのが仇となり、逆に寒冷化してしまった世界で繰り広げられる列車サバイバル。生き残った人間たちは列車の中で生活しており、その列車は車両ごとに施設が分けられ、先頭から最後尾までの乗組員の階級も決まっている。列車に乗り入れたときから乗組員の役割は決まっていたらしい。そんな現状を不満に思う者たち(列車の最後尾でひもじい思いをしている者たち)が、「革命じゃ~!」ってなるお話。

 役割が決まっているなどの設定から「es」という映画を想起。

〇循環 
 列車の中で水槽が出てきたあたりから気になりだしたのが、生態系の維持はどうなっているのかという疑問。しかし、そこに突っ込ませる間もなく説明が開始され、最後の最後でも進化論を説いてくるという・・・。この水槽の車両から、列車のシステムへはうまくつなげたと思う。 

 水は外部から摂取、あとの食料は列車内部で製造されている。プロテインバーは豊富な蛋白源である虫の大群から製造されており、それを知らずに口にしていたり・・・。 

 「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」でも皮肉っていたが、汚れた政治家の子どもは汚れた政治家に、金儲けが目的の医者の息子は金儲けが目的の医者になると。まあ要は蛙の子は蛙ということなのだが。それと同様のことが、この列車の教育機関車両でも起こっている。そこでは見事に馬鹿が馬鹿を育成し、この列車のシステムを是とする環境を作り出している。下のものを蔑み、上のものを敬う。いつの世もどんな場所でも規模が変わるだけで、人間の性は変わらないのか・・・。ほとほとあきれる。そんな様子を見せられてしまうと革命を起こす側よりの目線で観ざるをえなくなる。こういった目線で観せることが、システムや設定をうまく印象付けてくれる。

〇定期イベント (複数年に一回の)
 暗闇での革命軍と傭兵部隊?との戦いの際「火を持って来い!!」との掛け声から始まるイベント。聖火リレーか!? ここは特におもろかった。年を定めてる割に定期イベント要素が薄いなと思っていたけれども・・・。閉鎖生態系の維持に必要不可欠であった度々起こる革命・反乱は定期的イベントであると、ここで暗示していたのだろうか。各国の人間がいることも示していたし。さらには事の起こりは2031年で、この戦いの最中に新年を迎えるから2032年になる。オリンピックの年だ。・・・違うか??

〇閉鎖生態系 
 持ち場・役割の個体数の厳格な維持が閉鎖生態系を循環させるのに必要不可欠。自然淘汰による環境調整が間に合わないから人為的・作為的に行うしかない。それを仰せつかっているのが、運転手と車掌の二人。運転手だけでは列車は走れないのだ。今となってはいない列車もあるが。 


〇疑問 
・列車を走らせる意味があるとして、なぜあんなに高速で走らせる必要があるのか? 
 前方の障害物を破壊するためか。劇中破壊していきますし。 私の提案としては線路を列車で埋め尽くして、中を人が移動するようにすればいい。どっかで雪崩起きたら終わるが。 

・防衛策が杜撰すぎやしないだろうか? 
 革命・反乱に対して脆弱すぎる警備システムと人員。監視カメラぐらいつけておくだろ普通。まあ、これは伏線でもあり、見事に解決してくれる。 

・線路のメンテは?
 これはまあいいや・・・。


〇最後に 
 運転手がいれば車掌さんもいる。この二者は列車の安全な運行には欠かせない存在だ。それを頭に入れておくべきだった。循環の項でも書いたが、革命を起こす側の目線で話を進められ見事に彼らを応援してしまっていたところ、頂点捕食者の掌の上だったというネタばれは見事に脱力だった。 

 最後の列車のシステムの説明で、列車である必要性は説かれている。運転手と車掌の二人一組。車両が分かれていること、さらには限られた空間での生存方法・調整などの理由による。が、それは列車ありきで、本来重要であるシステムありきではなくなっている。システムを列車とうまく結論付けるのではなく、話を盛り上げようと列車を取り扱った。その代償として世界観に多くの矛盾を生んでしまい、そちらが気になってしまう。SF的世界観を楽しみにしている方の評価は低いだろう。しかし、劇中における流れからの列車とシステムの結び付け方に関しては評価できると思う。

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