2016年5月3日火曜日

テラフォーマーズ(2016)

~落差~



〇はじめに
 完全に悪ふざけではある。しかしこの開き直りを評価してやらないでどうする。

 今回に限り、実写化を叩くのと原作厨は両立しないはずでは?と感じてしまうのは私だけなのか(困惑)?? 原作が補正され過ぎている・・・ 脚本叩き=原作叩きの構図になるはずなのだがな~・・・


〇想起する作品
 「ザ・フライ」
 「スターシップ・トゥルーパーズ」シリーズ
 「プレデターズ」(2010)
 「オデッセイ」(2015)


〇こんな話
 やめちゃえいっそやなことなんて♪♪ 全速力~回避せぇよ~♪♪


〇落差
 まず勘違いされている方が多数いる。そもそも原作もクソだ。ほぼ全てにおいて原作通り。今回に限って言えば原作がどうの言っている方の感性はあまり当てにしない方がいい。まぁ叩きたい奴は叩けばいいが、叩けば良いと思っている論調はあまり好まない。

 読めたのは1巻までだ。読み切り時が一番おもしろかった。その反響で連載してみたらあらびっくり。展開力、収拾力皆無、ゴミみたいな話になっていった。そもそもそんなに長く連載するタイプの作品ではなかったんだ。理由は後述。そしてこの作品はその1巻にあたる部分の映像化なわけだが、よくやったほうだ。むしろ映画の方がおもしろいと言う人がいても何ら驚きはしない。

 1巻の存在を知らない人が叩いてそうで怖い・・・ あ~アニメから行ってる人もいるのかそういや・・・



 毎回のように入るそれぞれの登場人物の過去回想、そして能力を解説するナレーション。これが何とも間を悪くしているのは事実。しかしこれはテンポ良く見せるべきアクション映画ではない。そもそも原作通り。

 これを初っ端に定義づけたやり方はツボである。意図的かは知らん。あのケイン・コスギをこう使うのかと。彼は某番組にて一世を風靡した男であるが、彼はとある時期からはハリウッドへ進出しアクションで売っていたわけだ。そんな人間にアクションをやらせず、さらには彼の動きまでも砂嵐で見えなくする。そしてかめはめ波のような必殺技を使わせたところも念押しだったのだろう。この前鉄拳出てたから、対抗して波動拳としておくか。畏れ入る。さらにあのたどたどしい日本語での長台詞。笑いを取りにきているとしか思えない。ここで割り切れなかったら退席した方がいい。これ以上おもしろくはならない。


 公開後数日経って、落ち着いたまともなレビューが出てくるであろうが、叩き屋が多いので少し擁護派に回る。


 問題となってくるのはだ。読者を惹きつけた原作の良さとは何だったのか、というところだろう。SF考証やアイデアなどではない。“落差である。「神様の言うとおり」を引き合いに出せばわかったいただけるだろうか。こいつは強い、やばいと印象付けておいて、はいあっさりさようならと。ヒロインポジションかと思いきや容赦なくフェードアウト。活躍の場を与えない。かっこいい、かわいい、通り名、実績、感情論、まるで関係無い。絶対的な暴力によってそんなつまらないものは排除されるのである。これなのである。「進撃の巨人」もそうか・・・

 そこに要素としてSFが、アクションが後々に追いついてきたわけである。この見せ方がうまかったのである。それぞれの能力をそこまで提示することなく、人物像を掘り下げることもそこそこ、陰謀めかせるだけして、で?という具合に排除されていく。この王道ではない展開をどこか夢のあるSFを添えて勢いで見せてしまうのがひたすらにうまかったのである。1巻までだ。

 しかしだからこそ長期連載に向かないのである。王道の逆をつく展開はパターン化してしまってはその後の衝撃は薄くなるのみ。おそらくこれが原因で離れた方は多かったのではなかろうか。あとは惰性で付き合っている人もいるか。
―――――
 私の偏見であるが、おそらく叩いている方々は2巻以降にも「テラフォーマーズ」という作品に魅力を感じている方々だろう。いや、そもそも観てない人もいる気もするが・・・ 便乗したいだけ・・・ 定番か・・・ 楽しいから良いけど・・・

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 この描き方として唯一成功していたのが先ほど紹介したケイン・コスギである。彼の活躍を起点に、映画全体にこういう作品であると意識づけさせたのは本当に見事だった。



 あと菊地凛子はあまり好きではないがさすがだった。

 それ以外は残念ながら魅力不足。もっと濃い奴らを持ってきた方がよかった。

 せめて将来の夢が仮面ライダーである福君を出演させるべきだっただろう。


 話が逸れたので戻るが、この実写化作品における落差の驚くべきところは、上述のような作品内ではなかったのである。作品外に作用していたことにある。

 おそらく実写化にあたり、技術的な問題等で原作の〇〇%も表現できなかったんじゃないかと落胆している人が多いのだろう。作品の意図を汲み取っていないと。

 違うのである。

 製作陣、いや一番は監督か。おそらく彼は、三池監督は、今やれることで120%やりたいことを全力で撮ったのである。見事なまでの悪ふざけでだ。


 原作における一番の魅力、“落差”を、製作者と鑑賞者との間で描いて見せたのである。なかなかできることじゃない。やろうと思ってできるものでもない。当に奇跡だ。それが三池だ!!

 すみません三池監督のことほとんど知りません。「藁の盾」はゴミでした。「悪の教典」は中々でした。

 まぁなんにせよ、この作品の一番に評価すべきところを見誤ってもらっては困る。

 括目せよ!! 悪く言うなれば炎上芸!!



 「るろうに剣心」にて私も原作厨側からものを言ったが、これにはやはり個人の勝手な理想や補正がかかるのである。何かに思い入れがあると正常に判断が利かなくなる。これも例外ではない。叩き屋を叩き気味に書いたが、別に悪意は無い。またいずれ自分も回るだろうしな・・・ いやあるかな・・・ 


 まぁ「進撃の巨人」を笑い飛ばせなかった私が言うのも説得力に欠けるかもしれない・・・






〇余談
 1つだけ怒りが湧いたところがある。何代目だか知らんけどさ~、そこはGソウルにしろよ・・・おい・・・


〇最後に
 次「無限の住人」かぁ~・・・。これまた厳しいところ行きますね~・・・

 ではでは・・・

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