~母子~
〇はじめに
ちょ、この作品音質が悪いのか、声質が悪いのか言葉が聞き取りづらいのだが、小西さんの。それが悪いのではなく逆に彼女の魅力を高めており、それはそれで堪らないのだが、聴きとろうと音量を上げると時折ビックリすることになるので、注意するように。 あと時折深田恭子の声に似てる。
〇こんな話
風邪(ふうじゃ)ワクチンをめぐる物語。
〇母と子
桜子は離婚した夫と親権争いをしている。息子は心臓疾患を患っており、他の病気との合併症を心配。特に風邪との。慣れないながら有機栽培で野菜を育てており、自らの手で息子を治そうとしている。それほどまでに息子のことを想っている。
紀久生を看護することになったのは偶然ではなく仕組まれてのことで、お金のため、仕事(正社員)に復帰するため、インサイダー取引?に一役買わされていた。彼女の行動は全て、息子を想ってのことであるが、統合失調症の気がある。
母親である。
紀久生は風邪ワクチンという万能薬を開発した科学者で、あらゆる(数人)人物から狙われることになる。ウィルスを仕込まれ病に犯され、自らに風邪ワクチンを使用する、いや使用されることとなる。
臨床試験に母親自らが名乗り出、風邪ワクチンを接種し、その副作用によりおかしくなっていた過去を持つ。そしておかしくなった母親は交通事故に遭い死亡している。父親を同じような経緯で亡くしているらしく、母子家庭である彼は死した母親を大変慕っていた(被験者名乗り出からもわかるように逆も然り)。 母親の愛に飢えているのか、桜子のことを女というより、母親として見ているような節がある。最初の死体のBGMが流れると母親回想モードに入る。
息子である。
最後のダンスは踊らされていたということなのだろうか。自らの意思で幸せのために踊っていると思っていた。最初の同級生のデュエットの誘いを断る彼女の意思を観せるのも意図してか。風邪ワクチンをめぐる陰謀に踊らされた者たち。日村母子、そして鮎川母子。それぞれの母子をダブらせている。紀久生が桜子の息子の部屋で遊んでいたりするのも、息子であることや、母親の存在の大きさを示すためだ。そして風邪ワクチンを打たれた者は自らの意思ではなく打たれている。両方息子だ。母親の方はというと息子のために自らの意思でワクチンの被験者に名乗り出、インサイダー取引に加担している。
紀久生とその母親が踊っていたはずが、相手が桜子に変わっている。マネキンを紀久生だと思い込みダンスを踊る母親が描かれていた。では桜子を母親だと見ているのは誰だったのかと。紀久生である。風邪ワクチンをめぐる陰謀に翻弄されていた二人という暗示と、母親の顔を確かに認識できなくなった紀久生という二つの意味があったのではなかろうか。桜子は息子のために手を汚しもした。しかしそんな息子が自分を母親だと認識しないのである。いくら想いを募らせようがだ。彼女に生きる意味は残されているのかと。残酷である。
万能薬ができた日にゃぁ、多くの製薬会社がアボン。究極医者なんていらなくなると。そしてその万能薬の権利を持つ者が世界を牛耳ることになると。ほとんどのものが無価値になりますわな。柄下明演じる一ノ瀬という医者の狂乱っぷりは見事だろう。精魂を注ぎ込んで長年取り組んできた研究全てを否定される産物を目の当たりにしたら。さらには将来を嘱望されたというプライドの高さもある人物。ボロボロですわ。
世に出してはいけないという理由が紀久生と暗躍する彼らとで違うところもおもしろいところなのか。自らの過去を踏まえ、副作用のある薬は世に出せない。副作用があろうと世に出ればいずれは立場が危うくなる。金のため、思想のため、息子(幸せ)のためとそれぞれの思惑があり、風邪ワクチンに迫る者たち。彼らの末路は如何に。
〇最後に
正直よくわからん、というのが率直な感想。しかし雰囲気はとても私好みである。
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