2015年6月13日土曜日

メイズ・ランナー(2014)

字幕翻訳:若林桃子


~秩序~

〇はじめに 
 最近流行りの3部作シリーズ「ハンガー・ゲーム」「ダイバージェント」と来て、この「メイズ・ランナー」。一番テンポが良いのではないだろうか。世界観の説明やドラマ部分といったサクセス要素をなぜか重要視するこの手のシリーズ。この作品は主人公の記憶喪失と、性格上好奇心旺盛という設定を利用して、まず行動してから結果を出し、新たな謎や情報を提示してくる。その展開の仕方がとても見やすかったように思う。しかしそのテンポの良さが、逆に面白味を削いでいたのも事実だろう。キャラをもっと深めても、そしてもっとランナーしてもよかった。でもそうするとまたつまらないとか言い出すんだろうな・・・。 

〇想起する作品
 「CUBE」(1997)
 「アイランド」(2005)
 「LOST」
 「プリズン・ブレイク」
 「進撃の巨人」

〇こんな話 
 迷路の中を走ります。

〇ランナー 
 迷路は十分に堪能できた(いやもっと堪能させてほしくはあったが、これくらいで十分)。しかしランナー要素があまりにも物足りなく感じてしまった。せめて裸足の奴とかいても良かったのでは。靴は履かない主義でね、的な変わった奴。短距離、中距離、長距離みたいに得意な距離で場面を使い分けるとか。床が動いても良かったよね。ルームランナーかよと。まぁ続編があるので、その辺は何か別のところに掛かっていたりしていて解消してくれるでしょう・・・多分。
 若者が「混沌とした世界=迷路」をひたすらに生きるってことなんでしょうかね。名前を思い出すことが通過儀礼的な意味合いで映し出されていましたし、主人公の集団における立場の確立を追っていくのがストーリーなわけで・・・。アイデンティティ的な・・・??


〇条件制御
 1つの完成されたシステムに新参者が入っていき、その中で頭角を現していく、地位を築いていく様は何とも見ていておもしろい。ここでは完成されたシステムについて少し。

 集落の形成、役割・役職の分担、統括者(はじめの1人)の存在、増えていく人員とともに供給される必要物資。そして最後の鍵である女という存在。これで1つの社会が形成・維持される要素が揃うわけで。これを劇中では秩序という言葉でまとめていた。そしてその秩序が主人公の介入により乱されたはじめたと。
 
 秩序とは一見平和な生活をする上で必要不可欠なものである。ある決まりごとを創り出し、その前提の下行動する。それぞれが制限された行動をとることで、他者への影響を最小限にする。そして社会を円滑に回すのである。
 その秩序とは劇中どうやって形成されていたのか。ひとつに夜は扉が開かないという前提である。扉は1つの周期であった(普通に昼夜で良いか)。生活リズムと言った方がわかりやすいか。要は社会を形成する上で効率化を図るための基礎となる部分。適応することで省略できるものだ。習慣化か。これにより行動を簡略化することができる。
 しかしそれが彼らに何をもたらしたのか。秩序に則っているために根本的なところで、土台となっている部分で怠っていることがあった。事が起こるまでは考える必要がなかった事項であるわけだが。多くの犠牲を生むことになってしまう。
 秩序とは平和や平穏をもたらすものの、その環境に浸っている者は平和ボケにもなってしまうと・・・

・・・まぁ何が言いたかったのかというと、なんのまとめにもならないのだが、早々に何かしらの実験だろうなとは気付きつつも、その中で主人公が活躍する様子は実験であろうことを踏まえても非常におもしろかったと。

〇最後に
 話のテンポや展開が非常に見やすかった分、世界観の掘り下げをあまりしなかったことが後々どう影響してくるのか。謎が謎を呼ぶ展開にはこれくらいで良いように感じるが、はてさて・・・。

P.S.
 進撃の巨人楽しみだな~(白目)。

0 件のコメント:

コメントを投稿

悪女 AKUJO(2017)

~アクションは爽快~ 〇はじめに  韓国ではこの方はイケメンの部類なの? 〇想起する作品  「ニキータ」  「アンダーワールド」(2003)  「KITE」(2014)  「ハードコア」(2016)  「レッド・スパロー」(2018)...