2018年5月19日土曜日

ホステージX(2017)

ホステージX



~私は誰だ? あなたは誰だ?~


〇はじめに
 Xっていろいろ表すよね・・・



〇想起する作品
 「[リミット]」(2010)
 「ブロークン・アイデンティティ」(2012)




〇こんな話
 国外(国際)問題及び自国の利益のために活動するCIAが豪語する。

「どんな人間だろうとアメリカ人であれば助ける!!」



 ん? これどっかで聞いたことないか?





〇罪
 異国の地で言葉も通じず何も明かされず捉えられ続ける記憶喪失のとある男の視点はもちろん、電話で繋がった捜査官を始めとした、彼を外から捉える目線がどういった変遷過程を辿ったのかが見どころか・・・



 捉えられた男

 異国の地で捉えられた男

 異国の地で言葉が通じず捉えられた男

 異国の地で言葉が通じず何も明かされないまま捉えられた男


 異国の地で言葉が通じず何も明かされないまま捉えられ続ける記憶喪失の男


 これだけで考えれば彼が被害者であると真っ先に思い浮かぶ。救うべき対象であると。


 閉じ込められた小屋が家畜小屋(馬小屋?)だったり、餌をやったり地面に書いた番号を消したりとやたら山羊を印象付けるのも彼の見え方というところでいろいろと狙っているのだろう。

 そんなとある男をカタチ作った上で、捜査官とのやり取りにおいて彼はどんな人物であると定まっていったのか・・・


 国が違う文化が違う宗教が違う中で、立場や状況が違えば使用する単語の意味合いも異なってきたりと、すれ違いは絶えない。異国の地で言葉の通じない人間を相手にする様は、〇〇という組織及び国の間の軋轢や、〇〇人という人種間の問題といったアメリカ(に限らないが)の入り組んだ現状の示唆だろうか。

 アメリカ人か否かの件をくどくも繰り返すのも、大正義アメリカが生み出してしまった悪としてのイスラム教徒という構図に対し、果たして異教徒であるのはどちらなのか…忌むべき存在であるのはどちらであるのかといった意味合いもあるのかもしれない。まぁ彼を捉えていた人物たちは別物だったんだけど。


 そんなところを鑑みると、アメリカ人であればどんな人間だろうと助けるとする捜査官の言葉が、信じる者は救われる…ただ信じるだけで良いのですとする甘いお言葉のお誘いと同義に聞こえてくる。






 お人形さんを片手に銃をぶっ放す少女の存在が本作のキーか。彼女の一見危険な行動の数々は無知故…いや無垢故ととれる。



 幼子のようになりなさい…と誰かは言った。彼女はそういった象徴なのだろう。山羊の他にも犬や鼠といった動物を描き出しているのもそのためか。
 


 人形と銃とを天秤に掛け最終的に人形を手に取る少女に対し、ヴァイオリン奏者であった罪無き少女に、人を殺すという確かな動機の下(男根を撃つために)銃を握らせた男の罪深さの訴えを、何も状況がわからない中で、捉えられた男をどう見ていたのかという鑑賞者の都合の良い解釈ができてしまう視点を鑑みるのはもちろん、まるで神かの様な振舞いの大国アメリカへの皮肉を交え、復讐を完遂する1人の少女で描き出す事で、人が人を裁くことの罪深さもまた問いかけている様に思う。
 



〇最後に
 楽し気な様子だったけど、誘拐犯たちは小屋の外で何を話してたんだろうね。気になるね。


 ではでは・・・


2 件のコメント:

  1. いつも楽しく拝見させていただいております。
    最近まだまだ漫画の実写化が続いていますが、そのあたりどうおもいますか?

    ぼくはブリーチは反対です。
    杉咲花は好きですけどね。

    返信削除
    返信
    1.  息子の瞳さんこんばんは。反応遅くなりすみません。

       実写化は面白ければなんでも良いと思っています…いえ思うようになりました。

       ただ…様々に親しみ方があり、ファンの在り方も多様でそれぞれに何かしら特別な思い出や思い入れがあるにも関わらず、どの層をターゲットにしてるのかわからない事があるので、そういったところへの配慮は欠けているというか、そもそも理解しようとする気が感じられないところは憤りを覚えます。それに話題性が狙いだとは思うのですが、最近は炎上商法の様なマイナスな方面で意図的にウケを狙っているなと感じるのがたまにどころか瑕です。

       「ブリーチ」はそうですね…原作となる漫画を読んでみたい、また読みたくなったと思える様な作品になっていることを期待しています。

      削除

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