~ジューバ~
〇はじめに
ダグ・リーマンって「バリー・シール アメリカをはめた男」(2017)で揉めてたから、割と派手目な画が好きなのかと思いきや、こういった心理戦も撮るのね。
〇想起する作品
「スターリングラード」(2001)
「フォーン・ブース」(2002)
「ハート・ロッカー」(2008)
「[リミット]」(2010)
「ブレーキ」(2012)
「アメリカン・スナイパー」(2014)
「トラップ」(2014)
〇こんな話
米兵を震え上がらせた伝説のスナイパーの話。
〇ジューバ
イラク戦争は大枠で観ればアメリカ大正義と称した一方的な介入でしかなく、ピンポイントで一般人を爆撃したり、狙撃していたりで何かと問題が多かったことで有名だけど・・・
そんな情勢を逆手にとる、壁を隔てイチ米兵が一方的にイチスナイパーに狙われるという構図から始まる心理戦。このイチ米兵が隠れているイチ米兵を守っている壁とは、元々米兵がぶち壊そうと躍起になっていたものであり、元は学校だったと言う・・・
この壁に隔てられた両者の、無線という限られたやり取りと情報収集手段によって繰り広げられる心理戦という勝手な憶測の応酬と、その情報を基にした行動から見えてくるのは、イラク戦争において決してアメリカが大正義ではないのだとする側面である。見方を変えれば、立場が変われば、全く異なる事情が見えてくる。
敵が米兵に成りすまし増援をおびき寄せているという話だけ見れば一方的に敵憎しと感じてしまうが、主人公が任期を全うしようとまた戦場に戻ってくるという話があった様に、わざわざ戦場に出向いているのは米兵だと捉えてみるとまた事情は変わってくる。
全ての情報・状況を把握し得ない共有し得ない、そして理解し得ないことから起こる衝突。その行き違い掛け違いからの波紋、取り返しのつかない過ちと消し去ることのできない憎しみ、それ故の終わりの見えない戦争・・・
最終的に殺してはいるものの、イラク人から米兵に対話を持ち掛けていたり、この状況を機に否応無く自らの過去と向き合う猶予が与えられていたり、仲間たちにすら話せなかった罪を告白したり… 他にもいろいろと皮肉や訴えがあるのかな?
〇最後に
ジューバというスナイパーを作り出したのはいろんな意味で米兵ってことなんだよね。多分一番に大きくあるのは、敵という脅威をジューバという存在に集約させた姿勢ってところで。
現状のテロの問題は簡単に解決できるようなものではなく、複雑に入り組んだ情勢を紐解こうとしてもそれを一気に解消する術などなく… いろんな映画で語られるけれども、万能薬特効薬などなく…
伝説のスナイパーとされるジューバとは果たして…米兵を大量に殺したスナイパーとは本当に1人だったのか?…と。敵か味方かの二元論で単純化しようとする思考の放棄により創られた幻影ではないのだろうか?…と・・・
ではでは・・・
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