2016年7月6日水曜日

ボーダーラン(2012)

ボーダーラン[DVD]


~理想と現実~

〇はじめに
 アメリカは出国は容易だが、入国は相当に厳しいと聞いたことがある。


〇想起する作品
 「サバイバー」(2015)



〇こんな話
 アメリカ―メキシコ国境の現実。

 毎年数十万人が不法入国を試みるそうな。




〇理想と現実
 不法移民には厳格であれとする法案。フェンスを増設し、州兵や民兵を動員(増員)。渦中の議員に直撃する報道記者。以前は全く反対の意見をお持ちでしたよねと詰め寄る。隠れ左翼だということを世に知らしめてやると。

 議員は言う、事態はそう単純じゃない。



 全てにおいて有効な策などない。ある基準を定めて例外例外を作り出し許容する幅を広げていく、よく言えば選別、悪く言えば妥協していくしかないのである。それを馬鹿な連中、失礼、悪知恵が働くずる賢い奴らが抜け穴を見つけ出し悪い方に悪い方に解釈をひたすらに掘り下げるのである。馬鹿な連中は自分にはその基準が適用されないと思っている、というより自覚が無いからより救いようが無かった。どっちもおんなじようなもんか。

 いつも思う。なぜその頭のはたらきを良い方に活かせないのだろうかと。

 人間は0から何かを創り出すよりも、出来上がったものの粗を探す方が得意なのである。人との付き合いにおいて良いところよりも悪いところばかり見えるでしょと。おんなじなのである。

 そして労力の差よ。まず自分が動くのではなく、誰かが動いてから動いた方が楽で効率的。歴史が犠牲の上に成り立つってのはこのためだ。失敗から学ぶのである。

 これは良い意味で捉えれば抑制作用だ。どこかで誰かが必ず失敗する。当事者であれば失敗を認め、原因を探り、改善する。傍観者であればその失敗を参考にし次に活かす。これ以上悪い方へは行かないという線引き(基準)になる。世界は日々より良い方向へ向けて進歩していくはずだ。しかしこれだけではないのが現状だろう。

 悪く捉えるのであれば単なるエゴだ。保身のため、その失敗を隠す方に力を注ぐ場合があるのである。なぜバレたのかと。そしてトカゲの尻尾切りである。根本的な改善よりも部分的な改竄の方が低コストだからだ。連帯責任ではなく、誰かに全ての責任を擦り付けた方が事態は収束しやすいからだ。人が求めるのは理由ではない、答えである。何も改善されないまま、いや隠蔽体質だけを高めるという方向へ動き出す。

 この体質は個(エゴ)が組織という集団を形成し、その集団の所属する世界というものを動かす人間ならではの機能なのではなかろうか(エゴ→集団、集団→エゴ・・・どちらが先かとは今回はいいや)。誰かしらに責任というものが発生するからである。人の幸せを祝福することよりも妬む気持ちが先行する。なぜ自分だけがという被害者感情ばかりが触発される。それを抑え込み日々生活している。そしてとある時爆発するのである。
 

 話が逸れたが、とあるところにラインを引きそこから一切引かない者と、ズルズルと感情に流される者。これが上に書いた抑制作用とエゴとで関連付けられるわけだが・・・

 最初の「議員」と「記者」、最後の「越境者(越境経験者)」と「国境警備隊」の関係において見えてくるのである。法という基準が持ち出されて。どっちがどっちということではない。どちらにもこの二面性がある。


 保守派だった主人公。越境の現実を実際に経験し、議員に詰め寄った時の彼女はいない。

 ここの心変わり、移り変わりはうまく描けていたと思う。しかし実際問題今や不法就労だけでなく、テロの問題もあり中々に複雑なのだろう。今や敵は外側だけではない。内側にもいる。バランスの調整が難しいところだ。





〇最後に
 ラストはどうなんだろうな。誰かが手を差し伸べれば変な話簡単にアメリカに入国できるってなところなのかな。不法入国を商売に人の命よりも金儲けを優先する連中がいる。そしてその事実を知らない者たちにも腹が立つと。でも現実問題どうなのと・・・

 主人公は本当に生きていたの?ってなところまで展望するべきなのか?

 結局この作品も一面しか捉えてないのよね・・・

 ではでは・・・


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