2017年3月14日火曜日

ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄(2015)

ペイ・ザ・ゴースト


~親子愛~


〇はじめに
 ニコラス・ケイジの父親感は「ウェザーマン」が好きですね~。

〇想起する作品
 「ウーマン・イン・ブラック」


〇こんな話
 ハロウィンに誘拐事件。


〇親子愛
 子を奪われた親の気持ちというところを主としているのは伝わってくる。

 妻としては日頃仕事ばかりの夫に不満はあれどそれは家族のためだという割り切りや我慢があった。それを踏まえ夫が終身雇用資格を掴んだうれしさのあまりタガが外れ普段は許していないことを許してしまう。その結果息子を失うことに・・・。目を離した父親への悪態が表面的には先行するが、ここには祭りへ行くことを許した自身への怒りと後悔が見え隠れする。

 夫としては今までに迷惑をかけた償いという面があった。その日の最後の最後まで息子との約束を守れなかったからこその一夜だった。今を我慢すればという、これからのために自らも苦悩しつつ、家族を疎かにしてしまっていたんだ。何よりこれからだったんだ。やっと家族に向き合えるはずだったんだ。

 彼らを繋ぎとめていたものの喪失。別居せざるをえなかったり、たった一人の息子を失った親という立場と、大多数の行方不明者の中の1人として捜索している警察という立場の衝突だったり彼らの苦悩はひたすらに描かれている。

 そんな子を想う親というモノが描き出されているからこそ活きてくる真相があるわけだが・・・





 彼らのこれまでの日常にはほんのちょっとしたひずみゆがみは潜んでいた。しかし家族(夫婦や親子)という輪の中で何とか解消していたわけだ。ちょっとした配慮(埋め合わせ)によって。この微妙なバランスが崩されることの問題が今作で描かれることで。

 この配慮があるからこそ保たれている関係であると観せ、資格を得た際に家族の元へと一目散に向かわず、推薦者に感謝を述べに行く父親の演出も良かったように思う。こういった配慮があるからこそ保たれていた家族という関係と認められた資格であるわけだが、この配慮が無ければもしかしたら息子は失わなかったかもしれないのだ。少し早く大学を出られたはず。タクシーもつかまった、約束にも間に合った・・・かもしれない。家族という内部のための外部への働きかけ。これの究極系が事の発端、アニーの子どもたちを奪った暴徒たちにも繋がる。どちらかが蔑ろになってしまうことがあるわけだ。最悪どちらも、か。

 アニーという存在が夫を亡くしていたり、3人の子どもを守れなかった母親というところに対しての、3人の子どもを救い出した父親という対比。目を離してしまった手を離してしまったことで息子を連れ去られた父親がラスト宙吊りで息子の手を離さないといったところ。絶妙にバランスをとっていた関係性に何かしらが欠落したことにより広がる綻びと、それの修正を図ろうとする想いという部分を観せようとしている。先ほどの小さい綻びからこういった大きくなったところまでの演出はうまいとは思う。しかしこの親の想いという部分をありったけぶつけられても事の真相というところを見つめてみると何とも物足りなさが先行してしまう。





 幽霊がハロウィンに子どもを奪ってくってのはもう幽霊自身の自己満足になってるわけだよね。彼女に動機を求めるのも野暮ってもんなんだけど、復讐が独り歩きをしているというか。この理不尽さにピンと来ない。

 前年に連れ去られた者たちだけが道を通れる、この世と接点を持てる。というルールが存在しているようで。この条件から必ず毎年誰かしらが奪われている、どこかしらの家族が欠落しているということになるわけだよね。この世を起点に「-3」から始まった関係性に、毎年「-3」ともしかしたら「+3」となるわけだが、「-3」が生じた翌年から「+3」をしたところで、常に当初の「-3」は生じていることに変わりはない。この「-3」の埋め合わせこそが望みであり復讐に憑りつかれているアニーという亡霊がいる。そして毎年の「-3」を生まないために身代わりとして人形を焼くようになった祭りが存在している。しかし何の解決にもなっていないと。まぁ要は埋め合わせなど不可能ってことですよね。我が子の代替など存在しない。つまりは復讐に終わりは存在しない。ここに繋げるための主人公家族(夫婦)の奮闘劇なわけだが、なんともね・・・微妙に感じるんだよね。




〇最後に
 Sofia Wellsまたチョイ役だな~ いや、皆こういったところからステップアップしていったんだ。頑張れぇ~。


 ではでは・・・

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