2016年9月23日金曜日

アナザー(2015)

~コンプレックス~


〇はじめに
 あ~そっちか。主人公を信じ切れなかった・・・


〇こんな話
 原題「LA DAME DANS L'AUTO AVEC DES LUNETTES ET UN FUSIL」


〇騙される心理
 私のようなこの手の作品を疑ってかかる人は、理解できない事象に陥ると段々と主人公を疑い始める傾向がある。

 はじめの主人公の台詞。

  「海を観たことが無い、1度も・・・」

 これで主人公の性格が示されていると受け取る。内気でインドア、要は陰キャラだと。つまり彼女の内面に視線を向けさせようとしている。

 どうも社長さんの行動が不審極まりないわけであるが、それを以てしても・・・なのである。

 そもそも社長との(前後)関係や、同期入社とされるアニタとの関係も追々出てくる部分的な情報のみ(というかほぼ描かれない)。しかも事実なのか妄想なのか不鮮明にさも意味ありげに観せるし、何かしらコンプレックスを抱いておりこうありたいとする彼女の願望がこれでもかと見て取れるようにしている。彼女自身も自らを疑い始める始末。そりゃ主人公の周辺(外的要因)を疑うよりも内的要因を疑ってしまうわ。



 しかし本質はこの騙されるということでは決してなくて・・・・


 何がおもしろいのかというと・・・

 一度も来たことが無い街であなたを見たことがあると。昨日来たわよねと。人間を表面的にしか見ないやり取り。その場を取り繕えば何とでもなる関係性。特徴や飾り立てるもので他人を判断する。まぁこれって無関心というよりコミュニケーションにおける1つの術なんですけどね。変化を感じ取るために把握しておくべきことだけを制限して踏まえておくという・・・ 接客業なんて尚更である。こことひたすらに自らの内面と向き合っている主人公、そしてそこを疑う鑑賞者とが対比になっているところで。何を信じ何を疑えばいいのか。究極自らを信用できなくなる。ここから何を想うのかというところで。

 アニタと同じ道を辿ったことは予定外とされていたわけだが、ここで何が起こったのかというと、陰キャラの主人公が社長を射止めた勝ち組アニタと比較されたことで。それでどうなったかと言えば、同じ人間だと思われた訳で。これがまた皮肉というかなんというか。彼女が吹っ切れる、コンプレックスに囚われていた彼女を解放させるきっかけにもなったわけだ。自信がついたんだな大まかに。それが良かったのか悪かったのか・・・ 社長夫妻は下衆野郎確定。


 最後社長を撃ったことの位置づけがイマイチピンと来ない。単に正当防衛として見るのか、陰キャである彼女からは正反対の位置づけである殺しというところで見せたいのか。
メガネをかけ髪を整えていた人間がメガネを外し髪を掻き乱す。今までの彼女ならばこんな行動力は見られなかっただろうわけだから。それがとあるきっかけでここまで行くという極地を見せたいのだと受け取るべきか。




自分自身のために簡潔に整理・・・

  1度も海を見たことがない


  1度も来たことが無い街でアニタと間違われる(意図的だが)


 海に行くチャンスはいくらでもあったが行かなかったのはなぜなのか。未知の場所に飛び込むってのはね・・・うん。見られ方を気にし自分が相応ではないと判断したのかもしれない。明らかにそういったキャラとは一線を画すことは最初に示していた。そんな一歩踏み出せなかった女性がってところなのかな。




〇最後に
 レトロなのが違和感というかピンと来ないモノがあるというか・・・ それがネックだろうな~。

 あと気になったのはそんなに話しかけるもんなのかと。店員が客に。最初のおばさんは店から出てきてまで話しかけに来てるんだよね・・・ そんなフレンドリーだったんかな? 心配してくれたんか。この辺りをどう許容できるかにもよるだろうな。


 ではでは・・・

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