2016年2月10日水曜日

400デイズ(2015)

400デイズ[DVD]


~シミュレーション~

〇はじめに
 如何なることも起こり得る。意表をつく事態を発生させる。この受動的、能動的な思考がひたすらに悩ませる要素。これを踏まえ、火星の旅へレッツゴー。


〇想起する作品
 「es」(2001)
 「アフター・インパクト」(2007)
 「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」(2010)
 「エクスペリメント」(2010)
 「101日」(2010)
 「リターン・トゥ・アース」(2014)


〇こんな話
 400日の心理実験。

〇シミュレーション
 主人公が眠りから目覚めるところから映画ははじまる。留置所で、そして釈放。

 ラスト400日経って、激励メッセージとともに外に出ようと・・・??、彼女さんと手をつなぐ・・・終わり。

 これに意味があったのか・・・??

 ある程度の期限が設けられていることと、何かしらの取引により解放は可能。最終的なところで、

  留置所:誰かしらの許可を得て外に出る
  宇宙船:彼らの意思で出る
 
 何か押さえるべきポイントを誤っている気がする・・・

 待てよ、どちらも外側からロックがかけられている。条件は同じか。状況が違うだけで。扉は開け放たれた、許可を得た。やはり最終的に彼らの選択に委ねられるか否かというところで良いのか・・・ ふむふむ、わからん。


 打ち上げシミュレーションから問題を発生させ、彼らの能力とともにあらゆる事態が起こり得るという示唆はあった。そして本番では無いという船員たちの考えも示された。

 これに始まり基本的にシミュレーションだろという前提で事態へのアプローチを開始する。マニュアルの存在も少々・・・ しかし・・・

 疑心暗鬼になる要素は散りばめられていた。以前付き合っていた? 食事や水に関すること、競争感や焦燥感を煽るカウンセリング、通信途絶・・・等々。彼らがおかしくなっていく様を描いているわけだが。こいつら娯楽時間多すぎ。

 外の人間と何か秘密がありそうな人物。管制室との連絡が途絶えてからも、私ならと特別感を示していた。その人物すらも予期せぬ事態であると観せる。

 打ち上げでは事態の対処法を考え出し解決を試みた。しかしこれが、どんなシミュレーションなのか? 本当にシミュレーションなのか? 現実に問題が起きたのではないのか? という疑問に変わっていく。彼らは事態の対処ではなく、理由・答えを追い求め始める。あらゆる事態を想像し得る証拠を提示されながら。



 総じて割り切るのであれば、この心理実験の目的をどのように定めるのかというところが問題になってくるわけだが。そもそもそんなものがあったのかという・・・ あったと仮定して・・・ どこまでで括るのかと。

 まず疑問だったのが、宇宙空間における宇宙船を想定したあらゆる事態ではなく、地球という場所及び地下施設であるという前提の事態ばかりだというところだ。ということは・・・

 あらゆる事態に対処できるように船員たちをどうのこうのするというよりは、まず幻覚を見ます、という前提ありきなのではなかろうかと。そもそもこの実験は、船員4人の火星旅行パイロット候補としての訓練なのではなく、幻覚を見るようになるらしいけどどうする? という彼らの犠牲ありきのもっと大きな計画の一部だったのではなかろうか。

 さらに計画の大小を別の視点で追って行くのならば、宇宙船内だけで実験が行われていたのか否かと。彼らの潜っていた周囲の街でも別に行われていたのではないのかと。

 さらにさらに曲解するのであれば、船員4人こそが外の人間に対して実験を行っていたのではなかろうかと。全て外の事態を把握済み。街の人間たちの調査のためにわざと演技をしていた。

 いやいやいや・・・

 仮に全て実験だったとして、彼らは火星へと無事に辿りつけるのかと。宇宙飛行士たる資質を兼ね備えているのかと。ひたすらに疑心暗鬼になり何も行動できなくなるのではなかろうかと。如何に楽観的になるかが鍵となってくるわけで


 やべぇ~、「オデッセイ」ってメッチャおもろかったな。





 しつこいようだが、私なりの見解を少し。

 眠りから覚めるシーンが幾度となくあった気がする。幻覚を見る環境もあったし、現実と妄想の区別がつかないとの発言も見られた。これが尺度となっていたのではないのか。

 我々はまず400日という期限を提示された。1つの括りだ。400日が意味するところ。火星旅行の実現へとつながる実験結果。さらには劇中で繰り広げられる事態の何かしらの答え。と勝手に結びつけていなかっただろうか。決してこれらはイコールでは結ばれない。結ばれるとは限らないのである。この思考に気付かせることがこの作品での一番のテーマであったのではないか、というのが私なりの見解。


 最初に気になる言葉があった。JFK、レーガン、オバマと宇宙開発に関する演説が流れる。その中のレーガン元大統領の演説なのだが。我々は宇宙に対して未熟であると。宇宙は圧倒的であると。地上の呪縛からの解放。神に触れようと・・・うんたらかんたら。JFKは宇宙に魅せられた人間の真理を説いていた。オバマは期限を提示し、具体的な目標までも述べた。

 総じてアメリカ合衆国という国の力の顕示なわけだが・・・

 正確に答えのある事態など無いんだ。何が正しいのか、何が真実なのか。今までの常識の通用しない事態。打ち上げ時の船長の対処法の提案。他の船員たちは成功するのか否かと不安があるように描かれたのもそのためではないか。選択肢を創り出し、模索し、何かしらに決定しなければならない事態との遭遇。消去法なのか、他の問題を潰していくのか・・・はてさて。

 そんな事象にアプローチしようとしているわけなのだよ、宇宙開発というのは・・・ ってなメッセージ的な的な。はじめにも書いたが、如何なることも起こり得ると。そんな宇宙を舐めないこと。OK??


・補足的な
 恋愛感情の位置づけがようわからんのよね。惹かれあう2人と宇宙に魅せられた人類? 男か宇宙かと選択を迫られたのは女の方だったな。期限を提示もしていた・・・・ 歴代大統領たちの発言と被るものが・・・ ウォルターなる人物がアメリカの象徴なのか。となると4人は? 街の人間たちは??

 誰か答えをください(切実)

 もうさじを投げよう。



〇最後に
 「エンダーのゲーム」的にすればもっともっとおもしろかったのに・・・ 理由の1つとしては提示されていたか。この手の作品に「不確かさ」を求める方はかなり楽しめるのではなかろうか。

 ではでは・・・


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