2017年8月13日日曜日

名探偵コナン から紅の恋歌(2017)


~ジャンルの復帰~



〇はじめに
 劇場版第21作目

 昨今の作品にてジャンルをミステリー・サスペンスではなくクライムアクションにすべきではないかと揶揄したが、この作品を以て一旦取り消すことにしよう。ただ画的にワチャワチャしたいだけの作品ではなかった。こら~おもろい。


〇想起する作品
 「ちはやふる」
 「名探偵コナン 天国へのカウントダウン」
 「名探偵コナン 迷宮の十字路」




〇こんな話
 コナンというジャンルの軌道修正。




〇ミステリー・サスペンス
 かるた及びかるたという競技の特性。上の句があり下の句があるという繋がり。競技で言えば手札を取り合うわけであるが、上の句から読まれ始めたものを、下の句だけが書かれている札を取り合うという図式。もっと言えば始まりの文字や読手の癖やなんやらいろいろと細かいようだが・・・それはまぁ置いておいて。

 上の句を受けて下の句へと繋がる歌及び上の句から下の句を推測するというかるた競技において正規の順序を印象付けての、結果(事件後)から真実を手繰り寄せる推理というアプローチの対比が見事に効いている。滅茶苦茶うまい。段階を踏んだ事件にコナンと服部はどのように向き合っていったのか。



 そして何よりうまかったのが序盤のTV局における服部と和葉の救出劇と、皐月杯決勝におけるこれまた2人の救出劇の対比だろう。

 どことなく「天国へのカウントダウン」を意識させているとは想いつつ、前者は捻りを見せてくる。加速する距離が足りないとした思考に対し、直線ではなく曲線(円)という概念を取り入れる。要はハンマー投げの要領なわけだが・・・。ここに馬鹿正直ではダメなのだというコナンの頭のやわらかさを見る。

 そしてラストである。ただただ真っ直ぐ。これが服部の和葉への想いに掛かってくる。いや~堪らない。

 さらにこの真っ直ぐさに対して、後日談としてある新一の蘭への想いの返しが返歌という捻りにも繋がってるのよねこれ。よく考えてるわ・・・


 何故この両者の対比が活きるかってのは、百人一首は恋歌が多いというところなのよね。誰かしらへの想いを綴った歌。ただそれが届くとは限らない。届いたとして、伝えたい想いがあるがそれがそのまま伝わるかはわからない。立場が違えば会う事さえ叶わない(時代もあった)。それ故にとる行動が本心とはどれだけズレるのか。ズレて受け止められてしまうのか。これが道場破りまがいの真相にて描かれているからこれまた唸ってしまう。


 大会の形式によるようだが、競技かるたは階級が違うとそもそも対戦ができないのだとか。和葉と紅葉の対決が実際にはありえないとする意見を聞きかじったが・・・、

 なるほど、これはそのままそういった歌が歌われた時代に想いを馳せる仕様なわけだ。立場が違えば会う事さえ許されない時代があった。そして基本的に男の立場が上。男から求婚していくスタイルだった。相思相愛や女性の意見が尊重された恋愛なんてのは滅多に無かった。女性に選択権は無かった。正確には歌を嗜む人たちの間では、なのかな。それを受けての服部を余所に展開される恋の争奪戦。胸熱だわ~。


 やっぱり、倉木麻衣だよねぇ~




〇最後に
 いや~すばらしかったね。コナンの映画を観るとなんでもかんでもネタにしようと頭をフル回転させるんだけど、今回はその隙が無かった。次観た時に捻り出せるといいな、うん。次作も頼んますよぉ~!!

 ではでは・・・



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