2016年4月21日木曜日

グランド・ジョー(2013)

グランド・ジョー[DVD]


~替え~

〇はじめに
 久しぶりにニコラス・ケイジの作品で感動した。個人的に「ウェザーマン」が好き。



〇想起する作品
 「グラン・トリノ」(2008)

〇こんな話
 ゲリーに過去の自らを見るジョー。何かと世話を焼いてやるようになる。ゲリーの働きぶりや熱心な姿勢から自立を促すが、妹の世話等家庭の事情が絡み、現状から、父親の束縛から抜け出せない。はてさて・・・




〇替え
 ゲリーはジョーの元で木を殺す仕事をしていた。死んだ木しか材木業者は伐採できないんだとか。だから彼らが雇われている。意図的に木を殺していく。

 これに対し最後ゲリーは木を植える仕事に就く。ここが何ともグッときた。ジョーに助けられ、ジョーをよく知る人間にまた助けられる。彼は、彼の人生を歩き出す。
 

 これをもう一歩・・・

 彼らは雇われの身である。ジョーがゲリーらを率いていたように、ジョーもまた雇われているのである。木を殺す毒(薬品系)が使われるどこか物騒な仕事。誰であろうと雇う姿勢を見るからに危険な仕事なわけだ。変な話押し付けられているわけで。まぁ~需要があるから供給があると言えるのだが・・・

 統括する者の存在を示唆していたのではないのかと。なぜ木を殺すのか。伐採するためである。そして何よりお金になる新しい木を育てるためである。一連の流れがあるわけだ。ジョーの仕事は木を殺す。ジョーの友人は木を植える。これにより材木業者は利益を生み出しているわけである。これが最後の件の示唆なわけであるがここでは下衆い目線で行こう。

 雇用者から言ったら替えが利くのである。木も人も。金にならない木なら切って別のを生やせばいい。仕事をやりたい奴はいくらでもいる。誰かがやらなければ別の誰かがやる。こんな具合に。彼らのそれぞれの人生なんて関係ない。見ていない。見る必要なんてないのだから。これをジョーは、ゲリーが社会から見捨てられた者と表現している。

 雇われの身でありながら、雇用者でもあるジョー。何度もクビにしている人間がいるとは言っていた。実際にゲリーは雇い続け、父親は即刻クビにしている。なぜ刑務所に戻りたいのかと警官は聞く。思考・価値観の板挟みになっているわけである。彼のやりどころのない憤りはこの葛藤も含まれているのであろう。

 木は殺しても、切っても、また別のを植えて育てればいいかもしれない。

 しかしゲリーはどうだ?

 まだ若くこれからをいくらでも望める少年。彼は妹を、母を?守らなければならない。ゲリーという替えの利かない人生のために、ジョーは障害となるものを排除する。




 事前に番犬同士の殺し合いを見せたのは、暴力に頼り切った行く末を見せるためだったのか。この世界において強い奴が生き残る。弱肉強食である。

 では、人間にとって強いとは何なのか・・・




〇最後に
 これからのニコラス・ケイジはこの路線で行ってくれて構わない。

 ではでは・・・


0 件のコメント:

コメントを投稿

悪女 AKUJO(2017)

~アクションは爽快~ 〇はじめに  韓国ではこの方はイケメンの部類なの? 〇想起する作品  「ニキータ」  「アンダーワールド」(2003)  「KITE」(2014)  「ハードコア」(2016)  「レッド・スパロー」(2018)...