2015年12月11日金曜日

海難1890(2015)

~真心~

〇はじめに
 借りができた、借りを返した。そこで、終わりたくはないな。


〇こんな話
 エルトゥールル号事件とイラン・イラク戦争における逸話。



〇真心
 悪く言えば、日本のドラマならではの感動の押し売り。大げさでわざとらしかったり、くどかったりと。どことなく画を気にする台詞回しがあったりする。

 しかしこれは敢えてなのだろうと感じた。大きくは解釈の基準や指標を示すためか。この場面にはこういった意図があると。日本とトルコの友好映画で、誤解を生まぬよう。


 特には救出シーンだろう。ところどころ状況を吐露する。時に立ち止まり、時にアップで。不安や恐怖が混乱する中での必死の救出活動。彼らは何を想い何を感じていたのか。

 武士道と騎士道、赤ん坊の誕生とそれを喜ぶ姿、日本とトルコをつなぐ人間の心の部分をはじめに対比していた。これを踏まえての救出劇。ぐっと来る。

 助ける、助けたいという一心で望む姿を示す為には、このくどさが必要なんだ。彼らの時折の真っ直ぐな意思表示に、安心して身を委ねられるんだ。



〇疑念
 どことなく時代背景等の知識が浸透しているであろう体で作られていた。

 トルコから日本へと向かう航海の際、死にに行ってきますと今生の別れのような演出が為される。地球儀や地図によって距離や航路を観せてはいたが、19世紀における航海の状況をよく知らない人間にとっては正直ポカンだった。

 そして特に気になったのは台風について。

 1人の漁師が長年の経験や勘であろう、大時化だと言っているように、日本が台風について何も彼らに勧告しないものかと思っていた。航海士の存在は? とも・・・ 

 エルトゥールル号事態が疲弊していた船だったこと、船員のコレラ感染により停泊が長引いたことが、台風シーズンまで出航が遅れる原因だったそうな(ここでレスリングはうまく挿んだのかな)。そして時期的に早く出航しなければならない政治的な絡みがあったそうな。


 人災なのか天災なのかの見極めが難しい面もある。帆を畳むのが遅すぎやしないだろうかと。ボイラーが爆発するとの示唆の際も、見つめ合ってる場合だろうかと。

 後者は男の友情やドラマ要素であることはわかる。しかしこの別れの前に彼らの関係をもっと深めておけば、ここはサラっと流しても良かったのだろうなと。ま~配分が難しいだろうが。くさく見せるにはこれが一番でもあるのだが・・・



 エルトゥールル号の難破と遊郭・遊女のお戯れ。この対比は?

 これから交じりあうであろう人間たちを見せておくという準備なのか。海に溺れ、女に溺れ・・・

 村人たちは台風対策を終えて、夜に備え構えていたわけで。片や台風を舐め(致し方ない状況だったようだが)、難破。こんな比較もあったのか・・・
 


〇最後に
 何だかんだ書いてしまったが、おもしろかった。真心と言う部分を一身に感じた作品だった。


 た~だ・・・、

 このご時世的に植え付けたいであろう思考が感じられるのは事実。なぜ日本だけ救援ヘリを飛ばせないのかと。日本人が日本人を守れなくてどうすると。日本だけが各国から遅れをとっていると。今は改正されているようだが、事が起こってからでは対処できない。今から準備を進めなければという危機感、劣等感を煽るカタチは本当にうまい。

 それが気になると、後半部分は蛇足だったようにも思うな~・・・ どことなくよいしょよいしょしたいものが見えてきてしまうかもしれない。
 

 ではでは・・・


 



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