2014年3月2日日曜日

ミッドナイト・イン・パリ (2011)

ミッドナイト・イン・パリ

~過去に黄金時代をみる~

主人公がパリのある場所である時間に、自らが黄金時代とする時代にタイムスリップして、どうこうする話。
さすが芸術の都パリ、といった雰囲気を見事に醸し出していて、それゆえに黄金時代に憧れてやまない主人公に共感できるものがある。

〇黄金時代
生きている時代、つまり現在に不満を抱く人というのはよくいるが、なぜ過去に希望を見出すのかというのを考えてみたい。選択肢は過去・現在・未来の3つあるのだが、そのうちのどれに希望を見出すか? ということが問題。 自分にとって生きる時代というのは、仮にタイムスリップが可能となったとしても結局は現在ってことになってしまう。今を生きるしかない。過去に生きる、未来に生きるというのは思想的には可能としても、実際問題不可能なのである。

ではなぜ過去に希望を見出すのか? 
単純に考えるならば、結果が見えているからではないだろうか。過去は原因(過程)と結果が一目でみてとれる。因果関係がはっきりとする(実際は複雑だが・・・)。結果が見えているだけに、その時代に自分というものを投影しやすい。しかし、生きるということは常に現在進行形で、未来を予想はできても確定はできない。つまり、生きるということは、常に過程(原因となる部分)の中に身を置くということなのだ。故に現在では結果が見えないとまではいかないが、見えにくい。だからこそ選択に迷いが生まれたり、理想と現実のギャップに悩んだりし、現在に不満を覚える。故に、過去に希望を見出してしまう。
つまり現在と過去の比較は、それぞれ原因と結果を用いて行われている。そもそも比べるべき事象ではないのだが・・・、比べちゃうもんは比べちゃうよなぁ、というのが私なりの答え。


未来の者が過去に黄金時代をみたとしても過去のもの(その時代の人)がその時代を黄金時代とみているとは限らない。劇中主人公が黄金時代とする過去で、その時代の人がさらに過去に黄金時代をみているという表現がある。こんなところからも答えを考えだせると思う。

劇中でも最後は現在を選択してまた歩み始めるのだけれど、過去という決まりきったもの・不変のものよりは現在・未来と変動できるというか、未知のものに希望を見出してみませんかってことなのかな・・・。かっこよく言えば「道は切り開くもの」とか「歴史は自分でつくり出すもの」みたいな表現になるってことで・・・。

まとめますと、素敵な映画です。

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