2015年2月11日水曜日

ジョーカー・ゲーム(2015)



~D?器官~ 

〇はじめに 
 この監督・・・いや脚本家か、はおそらく根底から何かを勘違いしている。「MONSTERZ」もひどかったぜ、おいおい・・・と。 

 劇場を出て「よくわからなかった」と話している人がいた。この映画はわかるもわからないも、映画の中で全てドヤ顔で解説してしまっている。余韻や考える要素を全て排除してしまっているのだ。だからこそわからないと観客に言わせてしまうのではないか。そして作品の内容がわからないのではなない。おそらくこの映画の何がわからないのかをわかっていない。 

〇こんな話
 情に厚い男が、助けたり、助けられたりするお話。


〇要素(文句)
・能力の提示 
 情に厚い演出は良い。主人公としての制限性をうまく際立たせている(とは言うものの基本的にどんな主人公も言わずもがな情に厚いよねと・・・それを言ったら・・・)。同じ部隊所属(日本人か)であれば他人ですら助けようとするといった演出だ。そしてそれがD機関という演出を活かせもしたのでありだろう。
 しかしだ、ここからがいただけない。D機関に入ったは良いが、他のキャラが立っていないにも関わらず、亀梨和也を引き立たせようとする。これには無理がある。無理と言うのは、亀梨和也ありきになっていると言った方が良いのだろうか。最初の彼の能力の提示が瞬間的な状況認識であったことも弱くはあるのだが、これから対立するであろう他国の敵を前に、彼の能力がどこまでのレベルにあるのかという設定を、まず国内で比較し演出すべきなのだが、訓練において一切してくれないのでキャラをそれぞれ把握できないのである。そんな能力全員持ってるぜと他のキャラのレベルの基準や指標を見せて、訓練で駆け上がっていくぐらいできたはずだ。1つとして、演出の順番を変えるべきではなかったのか。最初にポーカーをするべきだったのではと。自分(軍人)以外全員一般人という台詞があるにはあった。しかしそれをポーカーでの談合でわざわざもう一回演出する必要性があったのかと。ポーカーで一人軍人であることと談合とで一気に意識付けさせればもっとしっくりきたのではないか。一回一気にどん底まで落としておけば、もう駆け上がるだけで、亀梨君を見事なまでのダークホースに仕立て上げられたではないかと。そして技術訓練でオールマイティな亀梨と、彼のそれぞれの能力を上回る特化型の仲間たちを比較させておけば、シリーズ化させていく上で必要となってくる仲間たちの演出も活きてきたのではないだろうか。ひたすらにもったいない。

 潜入する上での毎回変わるであろう与えられる身分(キャラクター設定)。シリーズ化するならばこれが活かされてくるのだろう。故にここをもっとサラっと観せられなかったものか。主人公が「もう覚えました」みたいに台詞で言ってしまうんですよ。ここを口調や口ぶりを変えるとかね。キャラにすでに成り切るとか、決め台詞を作って後々活用していくとかもできたわけじゃないですか。
 チェスに口を出すシーンもですよ。「失礼」と言って自らが指すのではなく、打とうとしている人物に対して、動かす場所を提示するような横槍を入れることもできたわけですよ。まぁでも紳士で通すなら、こちらは無しかな・・・。
 この辺の演出がもっと楽しめるものであれば、続編はどんな設定になるのだろうと、勝手に展望できたではないですか。

 主人公の服の色を白ベースで、深田恭子をメイド服で白と黒であつらえる。この対比も安直だよな~。

・二重スパイ 
 スパイ合戦における情報戦は一番に重要な要素である。如何に相手を騙し、鑑賞者の目を欺くのかというのが見どころではないのか。製作者と我々鑑賞者との情報戦と言うべきか。そして感心、納得させてしまう主人公の能力。それがあってはじめてスパイ映画と成り得る。そんなシーンがこの作品には皆無なのである。最後の最後で明かされる二重スパイの一人。これも甘いったら甘い。なぜタネを事前に全て見せていながら、最後の最後のネタバレでドヤ顔できるのか。頭大丈夫か? 
 二重スパイという要素を最初からちらつかせすぎなんだよ。鑑賞者の頭から一番に排除すべき要素ではないか。D機関から陸軍へ裏切りを見せる人物の存在。その場面でなぜ盗聴器を見せてしまう。そしてこの人物の設定である。母親どうのこうのと。この設定を主人公が英国諜報部へ二重スパイになると持ちかけるシーンで使ってしまうのがまた残念なのである。咄嗟に思いつくようなありふれた設定だということを、知らせてしまっているようなものではないか。そして敵国の二重スパイに助けられるシーンもそうだ。暗号によるやり取りや、Dの文字の意味。これを直後にドヤ顔解説。オチに向けてどんなトリックが待ち受けているのかと期待する反面、まさかまさかとこっちがひやひやしましたよ。そして案の定・・・と。

・隠し場所
 金庫が隠し場所ではなかった、からのチェス盤、そして駒へと考えが移行するまではなかなかに緊張感があった。しかし最後の最後でブラックノートを隠したチェスの駒が騎士だったというのは、その強奪戦においてその駒が部屋を駆け回るからという理由だけだったのですか・・・??
何かもっと欲しかったな~。

・セクシー要素 (完全なる下心)
 深田恭子の衣装において胸を強調しているにも関わらず、なぜ戦闘シーンや拷問シーンでそれを強調しないのか。亀梨君が彼女を拘束するシーンでは服を剥ぐぐらいしても良かったのではないか。剥いだ服で腕を拘束してしまうとか。そして鞭打ちのシーンだ。誰もが「ルパン三世 トワイライトジェミニの秘密」を期待したことだろう(私だけか)。後ろからじゃなくて前から打つんだよ! ルパンいくらか意識してただろうがよ!!  痛みでダメなら恥辱だろうがよ!!! 太ったおっさんに襲われるの嫌がってる演出は何だったのか・・・。
例えばですよ、
服を剥いで亀梨君に 「わ~お、これぞD器官」 と言わせるとか、
鞭打って服を剥いでくる敵が 「こ、これがD器官なのか・・・想像以上だぜぇ じゅるる」 とか、
最後亀梨君が深田恭子をD機関に勧誘なりしてさ、
「私はDじゃ収まらないわ♡」
とかとかを挿入しても良かったんでねえのけぇ。
・・・そもそもの問題はだ。やはりDなのかどうかだ。


〇最後に 
 全体的に不必要な手が多い気がするんですよね。最善の一手を打っていない。チェスで有能というアピールをしたにも関わらず、戦術・戦略的な面で今一つな演出の数々。計画的であったであろう作戦を補うのを彼の運ではなく、敵対する者の何かしらの行動にしなかったのはなぜなのか。お前がそう行動するのも想定の範囲内さと。そうすれば完全に相手を上回ったことが印象付けられたではないか。
・・・否定的な意見ばかりを並べてしまったので、最後にひとつ良かったところを挙げるのであれば、「死ぬな、殺すな」という主人公側に制限性をもたらしたところだろうか。これと併せてわざわざ情に厚いと念を押す意味がわからなかったが。どちらかはいらなかったかなと。
 亀梨君はかっこよかったし、深田恭子はかわいかった(できればもっと露出を・・・)。そこには満足している。

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