2015年8月9日日曜日

間奏曲はパリで(2014)

字幕翻訳:高部義之


~染み入る~ 

〇はじめに  
 なんだろうねこの美しさは。 

〇男女、夫婦、家族  
 男女のそれぞれのやり取りが良いね。言葉のチョイスかな。皮肉を交えたり悪態をついてしまう夫婦間。新鮮でロマンチックな浮気間。そして湿疹の位置づけ。隠したりすぐにさらけ出したり、なかなか見せなかったり。
 新しいもの好きな妻と、ベターな夫。夫の妻を思う気持ちは本人の前では描かれない。素直になれない不器用さがまたなんとも言えない。パスワードがブリジットだったり、食卓(だったけ?)で慣れ染めを語りだしたり。夫の妻に対する俺に付いてこい的な関係性を、浮気における尾行で持ちつ持たれつな感じにしてね。そして過去の情事が明らかになって、当事者間では見えないものを、第三者がガツンとね。とあるレストランにおいて肉の部位でもめる前後で運転手が変わっていたりもね。 
 フェンス越しの世界の対比もこれまた綺麗。パーリナイトと就寝老人、牛の出産とひやかし。一線を画す世界の住人。わざわざフェンスをまたがせる画を入れているのがね、また堪らんね。 


 息子のサーカス??(トランポリン)のところは涙が出たわ。息子に対して不満があった部分。認めていなかった部分。馬鹿にしていた部分。偏見があった部分。都会に想いを馳せることで「思ってたのとちゃう」というのが妻の視点で前面に押し出されるわけだが、それは負の要素ばかりであって、この息子の件が見事なまでに正の要素の演出で映える。何なんだろうねこの観せ方は。

 さらに最後ね。羊飼いのポストカードだかを見てね。領収書を見てね。彼女同様言葉にならないね。


 年寄りと若者、牛飼いとショップ店員と歯科医、ネットの得意不得意、レコードとYouTube、電話とスカイプ・・・・。結局、夫が、妻がええねんと。


 妻が掛かる医者を知らなかった夫。これは一見妻を見ていなかったり、無関心だったりともとれるのだが、湿疹を気にかけているのは明白で。そこから考えると、これは妻に対する信頼があったからともとれるのである。しかしそんな信頼が相手にとってはほころびとなり、不安や心配にもつながったりするわけで。そこからなんやかんやあって、見つめ直して元鞘ってのは何とも感動するもので。

 
〇最後に
 大きく見れば、引いて見れば、一本道と言うか一本調子な道でも、細かく見ていけば小さな波やうねりがあって。ある夫婦のそんな一時をピッカップ!したのがこの作品で。良かった~。

 ではでは・・・。

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